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安土引手茶屋

第1章 珠光小茄子の茶器・ 家康


家康に触れられ唇を押さえる
ドキドキが止まらない

なんて可愛い笑顔で笑うんだろう。
なんだこのギャップは? これが噂のツンデレなのか?


「あのぉー」
が襖を開いて顔だけちょこんと出す

「何それ、妖怪の真似? もう着替えたの?早いね。」
「どんな妖怪ですか! って、えぇぇと。お願いがあるんですけど……」

部屋に入るとまだ着替えていなかった

「着物の着け方が 分からないので手伝ってもらえますか? 」

はぁぁぁぁ、 

「 脱がすのは得意だけど 、着させるのはやったことないから、 変な形になっても文句言わないでよ」

そう言いながら後ろに回り、帯をほどいていく 。
器用な 手つきで帯に手を掛けるとシュシュと 音を立てて 帯がするりと外れた

襦袢姿だけになる

男はなるべくその姿を見ないようにしながら、黄色の着物を女に着せ始める

「黄色で良かったの?」
「だって家康が選んでくれたでしょ。」

素直に従うが愛しい
腕を腰に回して 腰紐を締めると、 帯を締め直していく

白地に金糸の刺繍が 施された打掛をかけてやれば どこかの姫君のように可憐に見えた

(すごい綺麗だ )

家康は心を奪われるが表情には出さない

「 後で女中をつけるから 、着物ぐらい一人で着れるように練習しなよ 。
 政宗さんなんかに頼んじゃダメだよ。
あと三成にも絶対ダメ。」

男は赤い顔を隠すように廊下に出るとの手を優しく掴んだ

「皆もう待ってるよ。早く行かないと」

そう言って歩き出した


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