第22章 余多門1
「ピーピー、ウルセんだよ!
来いよ!オラッ!」
「準備運動にもなりゃしねーよっ!」
ドカッ
「うっ」
バキッ
「…ッ」
ボコッ
「グハッ…」
ドスッ
「チッ…」
ドカッ
「ウワッ」
四対二の状態でも
二人は速攻でKOしたようだ。
美奈子を掴まえたやつに対して琉夏は容赦なくボコッていた。
「琉夏くんっ!もういい!大丈夫だから!
やめて、やめてよっ!
琉夏ちゃんっっ!」
「おい、琉夏っ!」
「!…」
美奈子が琉夏に抱きついて止めた。
まわりをみると、
余多門は、全員うずくまっていた。
ギャラリーが騒ぎ立てる。
「なんだ?喧嘩か??」
中には警察を呼んだ通行人もいた。
「お前たち警察呼んだぞ!」
「お巡りさん、こっちです喧嘩。」
余多門もなんとか立ち上がり
散り散りに逃げた。
「やべっ!
おいっ!行くぞ琉夏!」
「あぁ…」
…
…………
場所変わって駅前にきた三人
「俺、こっちだから、
琉夏またな。」
「マサキ、助かった。」
「美奈子ちゃんも怖い思いさせてごめんな。」
「黒川くんも、ありがとう。もしよかったらこれ使って下さい。」
綺麗に折りたたまれたハンカチと絆創膏だ。
「フッ、ありがとう。
琉夏、しっかり家まで送れよ?」
また連絡するといって去っていくマサキ。
…
……
美奈子を自宅まで送り届けた琉夏。
よーくみるとすり傷が顔や手にある。
「琉夏くん、手当てさせて?」
「こんなん平気だって。唾つけときゃ治るよ。」
「ダメ!小さい傷でも、バイ菌入ったら大変なんだから!」
黒い大きな瞳をうるうるさせて
自分のことを心から心配している美奈子。
「フッ、わかったよ。」
観念した様子で家に招かれた。