【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第20章 再開…しかしそれは
事が起こったのは、その晩のことだった。
ドカンッと何かが破裂する音、悲鳴、窓の外から見える景色が少し赤くなっていたこと。寝起きの頭でもすぐにわかった。
『抗争が始まったのか…』
まだベッドに座ってポーッとしていた時、バンバンと扉を叩かれた。
「お嬢ちゃんッ!!起きてくれ!!海賊と革命軍がッ、戦って街は火の海なんだッッ!!早く、早く避難してくれ!!!」
店主がきっと部屋中に声をかけていたんだろう。
『…分かりました。すぐに向かいます。』
「もうじきこの宿も火の手があがるッ!!急いでくれッ!」
店主はそういうとすぐに他の部屋へ走って行った。服を着替えた。街で購入したものでデザインはすごく気に入っている。お腹の部分は何も纏っていないから白ひげのマークもしっかりと見える。
宿の外に出ると、街は悲鳴で溢れており、そこら中に炎が上がっていた。
『すごいことになってるな…』
恐らく革命軍らしき人達が、街の火を消そうとがんばっていた。
が、こんな日に限って風が強くどんどんと炎は街を飲み込んでいった。
「…俺たちの街が…」
「おかァさんーッ!!」
「おい、この子を早く避難させろ!!」
「火を早く消せッ!!!」
バケツリレーをして頑張ってはいるが…追いつかないだろう。
「街を…私の街が…ッあぁ!!!」
「参謀は…何か連絡が来たかッ!!!」
「まだ連絡はッ!! 隊長ッ!!」
話していた革命軍の人達の方に崩れた民家の柱が倒れて行った。
仕方ないか…
『水柱ッ!!!』
海から海流を持ち上げて、倒れてきていた柱にぶつけた。柱は粉々になり吹っ飛んでいった。
「な、何が…」
「あれをッ…」
屋根の上に登り、天に手をかざした。
『エースがいれば簡単に雨を降らせる事ができるんだけど。』
大気中の水分を集め、足りない分は海から持ち上げた。それを一点に凝縮し雨雲を発生させた。
『…雨を降らすくらいはできなくもないけどね』
ポツポツと雨が降り出し、それは次第にひどい雨嵐に変わっていった。がしかし、その雨のおかげで街の炎はどんどん沈下されていった。
「街の炎が消えていくッ!!」「神様ッ…」
人々が雨に頭を下げ、喜んでいる。
『慈善家じゃないけど…見て見ぬ振りはできないから。』
この島だけに降っている雨は火が完全に消えたことを確認し、消えていった。