【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第20章 再開…しかしそれは
『…知っていただけているようで…』
「そりゃ…ま…有名人だしな?それよりもっとよく話を…「あぁ!いたッ!!」…コアラ」
「なにしてるのよッ!! 時間がないって言ってるのに!!」
「あぁ…わかってるって…」
「こんなところで女の子ナンパしてッ! 早く行くわよ!!」
サボはコアラと呼ばれる女の子…おそらく革命軍の1人なのだろう人に耳を引っ張られて連れて行かれた。
「いててててッ、離せよ!コアラ!!」
「もうハックも待ってるんだから!!」
「あ、待て待て待て!!」
無理やり連れて行かれたはずのサボは戻ってきて1枚の紙を置いて行った。
「これ、ビブルカード。あんたとはまた会いたいからなッ!」
ニカッと笑った顔は兄弟みんなと同じ顔で…そのまま有無言わずに去って行った。
『記憶がなくても…気にかけてくれてるのね。』
ビブルカードをそっとポケットにしまい、島の宿へと足を運んだ。きっとドラゴンさんは最初から自分で確認させようとこの場所を伝えたんだろう。
『お節介なところはおじいちゃんとそっくり。』
「お嬢ちゃん、一泊でいいのかい?」
『えぇ…すぐに行かないといけないので…』
「そうか…この街はいいところだからな!またゆっくり見にきてくれよ!」
宿の店主から鍵をもらうと、部屋へ向かった。部屋の窓から街が見えていて、少し日も高くなっていた。
『街でもゆっくり見てみるかな…』
持ってきていた荷物を置いて、貴重品を持ち街へと繰り出した。
賑やかな海に面した街では商業はとても発展しているように見えた。
「お、そこのお嬢ちゃん! これなんかどうだい?」
「美味しいものあるよー!!」
「ぜひ持って帰っておくれ!」
街を見ても、革命軍が動きそうな雰囲気はなかった。が、少し路地裏へ入るとすぐに原因は分かった。
「領地の主、また海賊と取引してるって」
「またか…海軍も来てくれねェ…どうすりゃ」
「物価もどんどんあげられるしよォ」
「貴族だけが得してやがる…」
「だれか…助けてくれ…」
悲痛な声は街にある貧困な民たちだった。さっきの商人たちももしかしたら必死にお金を稼いでいたのかもしれない。革命軍が動くのも納得がいった。
『……でも手を出したらいけない。』
今の私は海賊…正義を掲げる海軍とも、民間人を助ける革命軍でもない。
『…ごめんなさい。』