【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第20章 再開…しかしそれは
髪も伸び、どこ見ても面影は…あァ、笑顔はそのまんまだ。
「サボくん!!」
「分かってるって…」
あの頃のサボはエースやルフィと楽しく狩りをしていたりした。その後は何があって、船を出すことになったのかはわからないが…天竜人に撃たれて傷を負ったのは確かだ。その顔には大きな火傷の跡があった。
『…サボ…よかった。』
本当に小さな声だった。自分でも言ってしまったのを気づかないくらいに……サボはグインと身体を反転させた。
「えッ!ちょっとサボくん?!何ッ?!」
「いや、ちょっと…な。」
周りをキョロキョロと見回して何かを探しているかのようなそぶりをしていた。
「もう時間ないんだよッ?!」
「わかってるってコアラ…でも呼ばれたんだ…なんか懐かしいような、そんな声に。」
「何言ってるの、サボくんはッ!!」
人混みがあり、私は隠れて路地裏のようなところに立っていた。
「おい、なにしてんだ?こんなところで…大海の天使さんよォ?」
後ろから聞こえた下劣な声にサボを見れて幸せを感じた心が吹き飛んでしまった。その姿を確認するとやはりそいつは下衆だったようで…気持ちが悪い笑み…汚い服…そしてその手には手配書と自身の愛剣を持ってこちらをじろじろと値踏みしていた。
『はァ…せっかくの感動の気持ちが…』
「あ? なに言ってんだ?俺らお前に用があるんだぜ?ちょっとその首かせや。」
『首じゃなくて顔をかせじゃないですかね。馬鹿なんですか?』
「ッッ!!なんだとッ!?!!」
男は馬鹿にされて、頭に血が上ったのか掴みかかろうと腕を伸ばしてきた。私は身体を水に変える準備をした…が、男の手は私に届く前にガキンッと音を立てて上に持ち上がっていた。
「あがッ!!!!」
「お兄さん…嫌がってんだろう?」
青いシルクハット、帽子についたゴーグル、鉄パイプ…間に割り込んできた男は先ほど私が嫌と言うほど見ていた男だった。
「な、なんだよッ!!お、お前はッ!!!」
「名乗るようなもんじゃねェ…今なら見逃してやる」
「ひッ!!覚えてろよ!!」
睨みを気かした目で男は怯んで逃げてしまった。
「大丈夫だったか?」
『えぇ…ありがとうございます。』
「まぁ、こんな路地裏にいたら襲われるのも無理ないけどな。」
『少し道から外れてしまっただけなので…すぐ戻ります。』
「……大海の天使だよな?」