【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第19章 過去
「そうか…ルフィというのか。その弟くんは。」
『うん…私もあんまり一緒にいなかったから今はどのくらい強くなって、どのくらい大きくなってるかは分からないけど。海賊王になるって言ってたよ。』
「そうか…それは是非会ってみたいものだ。」
『…ねぇ、レイリーさん。』
「なんだい?」
『お父さんとの旅は楽しかった?』
「…そうだね…いろんなことがあった。いろんな奴に会って、色んなところに行った。もちろん楽しいことばかりじゃなかった。辛いこともあったが…あいつはそれでも私たちの船長をしっかりしていたよ。父親としては何もできなかったと思う…世の中の評価はロジャーにとっても厳しいものだ。もちろん、子供である君たちに対する評価もだ。だが…その評価や世間の目にも負けず生きたこと。それはロジャーにとっても喜ばしいことだと思う。」
『……ッなんで。』
「生きる意味に悩んでいるんだろう?世間の目もあり、否定しかないこの世界で… 。ロジャーも心配していたよ。』
ーこの先、俺が死んだ後…子供が生まれてくる。俺は海賊王になった。つまり、世間からの目はきついものだ。子供を殺しにくるだろう。
ーわかってるなら嫁さんに伝えてやれよ。
ーもう伝えてある。だが…あいつは無事に産むと言ってきた。だから、お前にはそばで支えてやってほしい。そして後々生まれてくる子が生き抜いていたなら…この言葉を伝えてくれ。
「生き抜いてくれてありがとう。無事に生まれてくれてありがとう。お前は俺たちの子だ…誇りだ。いつまでも愛してるって…
俺のことを嫌ってるかも知れんがな…とも言っていたよ。」
涙が溢れるとはこのことを言うんだろう…
『ッ…うっ…ぁ』
父さんはゴール・D.・ロジャーだと聞かされたのは物心ついた頃だった。エースと2人で愕然としたことを覚えてる。今まで生きてきた道のりはとても緩やかとはいえなかった。父親の話を聞いても、例え話をしてもみんなが口々に死を望んだ。
『…私はッ…エースがいなかったらッきっと生きようとは思わなかった…誰にも必要とされない世界で、1人生きようとは思わなかったッ! でも、エースかいて、おじいちゃんがい、てルフィがいて…私は幸せ者だッ、お父さんの言葉も聞けた。必要としてくれる人たちもできた…十分だ』
「まるで死にに行くような言い方だ。君はまだまだこれからだぞ」