【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第19章 過去
『そうなんですか…私たちは小さい頃から父に対する悪意しか受けたことがなく、人物を、生きた様を話してくれる人がいなかった。だから、私はあなたに会いたかった。隣で生きた貴方なら父の全てを教えてくれると思ったから。』
「そうか…あいつは世の中では海賊王と呼ばれ、最悪をもたらしたと言われているがその素性…ただのアホな男だったよ。」
レイリーはその目を細め、また昔の話をしてくれた。出会ったのはもう何十年も前の話でその出会い方もなかなか興味深い物だった。
「ロジャーはアホというか…バカというか、なんというか…考えているようで考えてないそんな奴だったよ。」
『フフ…エースはお父さんに似たんですね。』
「エース??」
『あぁ…私の双子の兄です。今は有名になってますよね。』
「あぁ…火拳のか…」
『あぁ…ご存知だったんですね。』
「そりゃあ、今はルーキーを見守るのが趣味みたいな物だからね。君は今はなにを?」
『前はご存知の通り、海軍にいましたが今は自由に旅してます。』
「どこにも属してないのかい?」
『いえ…仲間はいます。白ひげに入れてもらいました。』
「…そうかッ、ニューゲートか!」
レイリーは懐かしむように話していた。
ー女ができただと?? ロジャーどういうことだ!
ーいい女だった…俺ァよ、レイリー。この1人の女を生涯愛し抜くぜ。
ー女ったらしのお前が珍しい…どんな女だったんだ?
ーそりゃあ、いい女だ!
ー見てみたいぜ。
ー天使のような可愛さがあって…気はまあ強めで…媚びてなくて。とにかくいい女だったぜ!
ーなんで連れてこなかったんだ?
ー海賊になる気はねェだとよ。
ー…ふ、そうか。
ルージュの話をするお父さんの話は私でもゲロ甘に感じる。
『そんなに惚れてる惚れてるって言ってたんですか?』
「あァ、そりゃ毎日ルージュがどうのって言ってたな。」
『恥ずかしい…』
「ははははッ!なにを恥ずかしがる!君の両親の話じゃないかッ!」
『いや、本当に悪い噂しか聞かない父と噂のない母なので…レイリーさんの話が新鮮でした。』
「昔の話くらい、いつでもしよう…それより私は君の今を聴きたいな。」
『え? 私ですか?』
「あぁ…教えてくれないか?」
私は今までのことを全て伝えた。父の噂によって苦しめられていたことも、エースが少しぐれていたことも…弟がいることも。