【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第15章 バレる素性
待て、待て待て待て…誰が末妹だ??
乾杯の合図があって、否定することができなくなっていた。
『いや…あの…私…』
「妹は初めてなんだッ!! よろしくなッ!」
『え、いや…』
「私たちの紹介も後であるから。女同士仲良くしましょう」
『は、はぁ』
「改めて、俺はサッチ!! よろしくなアンちゃん!」
みんなは口々に挨拶をしにくるのでとても拒否できる雰囲気ではない。私がそれから解放されたのは、宴の半ばにかかった頃だった。
「グララララッ!! どうだおめェの家族は!」
『…嵌められたと思っているんですが…』
「嵌めてなんかねェよい。お前が自身で出てきたんだろい?」
『…まぁ、でも楽しそうですよね。海賊って…』
「そうだよ!! 僕たちは自由を愛してるからね!!」
「おめェもこいよ!! 旅しようぜ!!」
「まだ何を迷ってやがる?グララ」
白ひげは私の方を見ると首を傾げた。
『私にはまだやらないといけないことがある。確かに世界も見たい、自由に生きたい。でも…』
「グララララ、俺ァ…誰もこの船にいろなんてェ…言ってねェぞ。
海は広い自由に生きたらいいじゃねェか!!俺たちァ、海賊だ!! 自由なんだ…グララ」
『白ひげさん…』
「俺ァ…おめェに帰る場所を作りたいだけだァ…アホンダラ。だから、俺の名を貸してやる…自由に生きてみろ。お前は俺の娘だ…」
白ひげさん…いや親父様は大きな手で私を撫でてくれた。父親の温もりというのは感じたことがなかったが、こんなにも暖かいものだったのか。家族というのは、こんなにも優しいものだったのか。
ここ何年も1人で生きてきた、ルフィやエース、おじいちゃんとも離れて海軍として1人で生きてきた。忘れていた家族の大切さ…暖かさ…全てが蘇るようだった。
『お、親父様…私も家族になれますか?』
「グララララッ!! 当たり前だッ!! なァ、息子たちよ!」
「「「「おぉぉォォ!!!!」」」」
船に響き渡るような雄叫び…嬉しさと楽しさが一気にこみ上げてきて、私は何年かぶりに笑った。
「そっちのがいいよい」
「あァ…ここにきた時いっつもしかめっ面だったしな!」
「僕も、仲良くしてね!」
『改めまして、ポートガス・D・アンです!よろしくお願いします!!!』
この日私は白ひげ海賊団の家族になった。