【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第15章 バレる素性
「船長室ですべてを話してもらおうじゃねェか。」
白ひげは酒瓶を片手に、船室は入って行った。私もその後に続き船室へ向かった。
「マルコ隊長…大丈夫なんですか。」
「問題ねェよい…それより、そこらへんに寝てる奴らを叩き起こせ!いつも通りの仕事に入れよい!!」
「「「「はい!!!」」」」
一方…船長室では。
「で、一体ェ何があったって言うんだ?海軍が荒れて…海も荒れて…世界中もおめェが犯人だと思ってやがる。全てを話してみろ。」
『話さなくても白ひげさんには何も実害はないと思っているのですが…』
「害があるかないかは俺ァが決めることだ。今現状でおめェがいなくなったことで、海軍は血眼でおめェの死体を探してる。それによってもちろんさっきみたいに俺たちに食ってかかってくる馬鹿な野郎も増えてきた。それは実害にはならねェのか?」
『…そうですね。お話しするのは構いませんが信じるかどうかはお任せします。』
「グララララ…娘のことを信じねェ親がどこにいる。」
『……私は娘じゃありません。事の初めは…』
私はあの日のことを細かく話した。死んで行った仲間たちが残してくれたもの…海軍に幻滅してしまったこと。白ひげさんは笑いもせずに、話を聞いてくれた。
『これが事の真相です…』
「…そうか。」
白ひげは黙り込んでしまった。
『これで…もう用はありませんよね。』
この場にいたくないと思うほど、白ひげからの視線が刺さった。それは疑っているのかも…そう思ってしまうほど私の心は弱くなってしまっていた。
「…グララララッ!!! そんなこったろうと思ってたんだァ!俺を見縊るんじゃねェ…俺ァ…ただお前の口から聞きたかっただけだァ…馬鹿野郎が。」
白ひげは私が思っていたよりずっと大きな人だったようだ。
『こんな小娘のこと…簡単に信じていいんですか?』
「グララ…最初に行っただろうが。娘のことを信じねェ親なんていねェ」
初めて全てを知って信じてくれた。元の仲間たちですら“仲間殺し”と私を蔑んだ。
『ッ…うっ…ァ』
信じてくれる人がいる。それだけで私の心には余裕がいくつも生まれた。ずっと張り続けた気も緩んでいく気がした。
「グララ…もっと大声で泣けばいい。お前は1人じゃねェ」
その言葉を境に涙が止まらなくなった。仲間を見送る時にも流れなかった涙が溢れていた。