【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第49章 まずは一歩ずつ
アンちゃんが出てきたという知らせを聞いて早2時間。
お昼の時間も過ぎて、野郎どもが食堂へ飯を食いにくるのも落ち着いた。
「おい、マルコ〜、アンちゃん起きたんじゃねえの?」
「起きてるよい」
ちょっと遅れて飯を食いにきた長男様は締めのコーヒーをズズッとすすっていた。
「じゃあ、なんで来ないのよ〜、俺特製のスープ作って待ってんだぜ!2時間も」
「そんなのしらねぇよい!エースにでも聞けよ…ぃ…ん?」
「あれ、そういやエースも出てきてねェな。」
そこらへんにいる奴らに聞いてみるがエースはまだ見てねぇという。
「珍しいな…エースが飯食いにこねぇなんて。」
「なんか、嫌な予感がするよい。」
コーヒーカップを机に置き、ちょっと様子見てくると食堂を出る長男に続いた。
「なんで来るんだよい!」
「俺も心配なのー。」
アンちゃんの部屋をノックするも返事は何も返ってこない。
「寝てんのか?」
「どうかねい」
部屋を開けると、そこは何もかもがめちゃくちゃでガラスやらなんやらが落ちている。
「ど、どうなってんだ!?」
「大方自分でやったんだろい」
淡々とした表情で言うマルコに言いたいことはあったが、この件は親父とマルコに一任しているので下手にものを言うのはやめた。
「つうと…こっちか?」
アンちゃんとエースの部屋はそんなに離れていない。マルコは眠たそうな目をさらに細くしてエースの部屋を開けた。
「エース…入るよ…い…ッ!!!」
「何止まってッ…なッ!!!」
俺たちの目に入ったのは、半裸のエース(いつものこと)とほぼ下着姿(これもいつものこと)が2人抱きつきながら狭いベッドで寝ている姿だった。
「おいッ!!エースッ!!」
「んぁ? マルコ?」
寝ぼけた声を出すエースにマルコは怒りの拳を振り下ろした。
「ってぇ!!!何すんだよ!!!」
「俺ァ…兄妹といえどそういう事すんじゃねぇと言わなかったかよい?」
おお、こわッ! 背中から見る姿は炎がメラメラと燃えており、エースはガタガタと震えている。
「い、いや、これには…訳が…ッ」
「言い訳なんかすんじゃねえッ!!」
そう言ってもう一度エースの頭には大きな山ができた。
『…んぅ、エース?』
その眠た気な目を擦りながらアンちゃんは目を覚ました。
「おはよう」