【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第49章 まずは一歩ずつ
エースに聞いた5日ぶりの外は、いつも通り賑やかだった。
「副隊長…」
「アンさんッ」
通りかかる隊員たちも心配してくれていたんだろう、エースに支えながら歩いている姿に足を止めて名前を呼ぶだけ。
親父様の部屋に入る。
「グララララ…やっと出てきたかァ引きこもり娘」
いつも通りお酒を煽り、今日はナースはいない様で独りで飲んでいた。
「エース…席をはずせェ」
「でも、親父ッ!!」
「グララララッ!取って食ったりしねェよ、話するだけだァ」
『大丈夫だよ…エース』
出た声は思っているよりか細いが、エースは理解してくれた様で部屋を出て行った。
「…マルコから話は聞いてる、何故勝手なことをした。」
『…少しでも助ける可能性を上げたかったの…家族を守りたかった…』
「それが俺への裏切りになるとは考えなかったのかァ?」
『…裏切ってないッ!』
「アン…俺ァ、別に怒ってるわけじゃねェ。裏切ったとかそんなことも思ってねェ…ただなァ…何故誰にも相談しなかったのか、何故もっと家族を信頼しなかったのか…それだけが聞きてェんだ、グララ」
『相談したら…きっと反対する。信頼してなかったわけじゃない。でも…』
「危険だってことはわかってたんだなァ?」
『もちろん…』
親父様は酒瓶をおいて、真剣に話を聞いてくれていた。
『…私1人の犠牲で、みんなとのこの日常が帰ってくるなら安いもんだと思ったの』
「グララララッ、このアホンダラァ!」
ゴンと親父様の指が私を殴った。
「その日常にお前がいなかったら、そりゃァ元の日常じゃァねェだろうがッ…グララ」
ハッとした…マルコやサッチがいつも言っていたことが深く根付く様に繰り返された。
ーお前も家族だろ?
ー1人犠牲になる必要ないのよ?
ー俺たちゃ、家族だろ?
『…だってぇ…ッヒック…だって…』
「グララララッ、お前は今まで独りで生きてきた、だから甘えるってことを知らねェ。なんでも独りで出来る、やらなきゃいけねェと思ってやがる。だがなァ1人犠牲なんてなるなァ、アン、俺たちァ家族だ。信頼し助け合う…それがァ家族ってもんだろ?グララララ」
『親父様…ッ』
「お前が死んで悲しむ連中もゴロゴロいるんだァ、命を大切にしろ、アホンダラァ!親より先に死ぬなんて親不孝なコトすんじゃねえェ」
最後には優しく抱きしめてくれた。