【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第49章 まずは一歩ずつ
開けた瞬間に飛びつく様に抱きつかれた。
「何やってんだよッ!」
『ごめん…エース…』
エースに抱きつかれながらも扉を閉めて鍵をかけた。
「これ…」
これとはきっと散乱している家具や物のことを言ってるんだろう、
「何があったんだよ…」
『マルコからは?』
「いや、何も聞いてねぇ…」
『そう…悪いのは私なんだけどね。ちょっとむしゃくしゃして壊しちゃった』
ちゃんと笑えてるだろうか。口角を上げているはずなんだが、エースの顔はまだまだ曇ったままだ。
「痩せたな…まぁ、5日も何にも食ってねぇんじゃな。なんか持ってくるか?」
『いらない。』
「…そうか。じゃ、話してくれよ。何があったってんだ。」
ベッドに落ちる壊れたかけらをパッパと払ってエースと並んで座った。
2人でなんで座るベッドは、少し小さくて…話そうとしているアンは痩せて笑顔も作れてなかった。
『…あの戦争の時…私、みんなに生きて欲しかった。エースを必ず助けたかったの…』
「あぁ…」
『何万人といる海兵を相手にするんだ。家族が死ぬのは当たり前。でも…どうしてもみんなで生きて帰りたかった。』
ゆっくりと紡いでくれる言葉を俺は黙って受け止めた。
『エースを助けるために、家族と生きるために、私は王下七武海に手を組んだ…そのうちの1人ドフラミンゴと交わした約束をマルコに聞かれてね…怒られちゃった。お前は家族を裏切ったんだって。』
そうか、心がイテェってのはこれが原因か。
『私はできることをしたつもり…家族を信じてなかったんじゃない。少しでも可能性を上げたかった…みんなを守りたかった。』
何度も泣いたんだろう腫れた目からまた、涙が流れていく。
『心が痛い…みんなに裏切られたと思われることが辛い…』
そう語った。俺はもう一度強く抱きしめた。
「大丈夫だ…マルコも親父もちゃんと分かってる。お前が1人犠牲にしてでも家族を思ってるって…だから泣くなよ。みんな、裏切ったとか思わねぇよ。そんなにみみっちい奴らだったか?」
そう聞くと首を大きく振った。
「だろ? みんな心配してんだぜ?マルコも親父も。ちゃんと謝れば分かってくれるから…な?」
『う、うぅッ…』
「お前が心を痛めてんのも家族が好きだからだろ、それを否定する奴は俺が殴ってやる。俺がついてるから部屋出ようぜ。」
『…うんッ』