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【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...

第49章 まずは一歩ずつ


あれから数日…。アンは部屋から一切出て来ねえ。
元々隊長格と同じ作りになっている分、風呂もトイレもある。食事以外は何にも不便じゃねぇ。

「エース…どうだ?」
「ダメだ、部屋行っても何にも反応しねぇ」
「どうなってんだ? もう5日だぞ。水も飲まねぇ、飯も食わねぇ。」
「マルコに聞いても何も話してくれなかったよ」

今まであいつと一緒に生きてきた。が、こんなことになったのは初めてだ。俺たちは双子だ。時々感覚や感情を共有する。

アンから、送られてくる感情は

「イテェって泣いてる…」
「あ?アンちゃんか?」
「あァ…何があったか分からねェ…けど、泣いてんだ…ずっと」
「マルコには何もするなって言われてるしな。」

俺たちは戸惑いを隠せなかった。モビーが戻ってきて楽しいはずの航海もアンがいねぇだけでこんなにもつまんねぇんだな。











あれから、何回太陽が沈んで、登ったかも分からない。散らかった部屋はそのままで…お風呂やトイレのみのために立ち上がるだけ。

時々エースやサッチが来てくれるけど…何も受け取る気にはならなかった。
マルコに言われた一言が心をグサグサと攻撃して今も止まない。

ー俺たちが信用できてなかったようだねい…
ーお前は少し反省しろよい。これは、俺たちを裏切る行為だってことをわかってんのかいッ!!

何度も何度も思い出しては心が締め付けられる。

『痛い…ッ』

泣いても事実は何も変わらない。私がしたことはみんなを助けるために必要だったこと。でも、どうしてこんなにも苦しんでいるの。

『どうして…』

今まで独りで生きてきた。仲間を裏切られる気持ちや殺される気持ちはもう味わいたくない。

そう思っただけなのに…。

「アン…」

また来た…次は誰だろうか。

「出てこいよ…もう5日だぜ。流石に食わねぇと体壊すぜ」

エースだろう…何度も何度も来てくれる。

「なんか悩んでんだろ?…分かるんだ。いてぇって今も言ってる。
俺たち兄妹だろ?話してくれよ…頼むから出てきてくれ」

エースの懇願する声が聞こえた。

『エース…ごめん…』
「アンか!? なぁ、出てこいよッ!話ならいくらでも聞いてやるッ!!だから、頼むッ!!」
『……分かった。』

能力で塞いできたものをどけて、扉を開けた。
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