【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第49章 まずは一歩ずつ
気がついたのは、外が真っ暗になってからだった。エースは隣にいないのに身体が熱い。
『…ハァハァ…もしかして…』
「起きたか?」
何故か腰にタオルを巻いてお風呂から出てくるエース。
『何してんの?』
「看病…お前、熱出てんだって…」
『…やっぱり』
「久々だな、アンが熱出して寝込むなんて。寝かしつけてから丸2日も起きなったんだぜ?」
『2日!? ッ仕事しないとッ!!』
いきなり起きたことでフラッと目眩がする。
「無理だって…まだ38度以下に下がってねぇんだから。過労とストレスって言ってたぜ、デュースが」
『…』
「昔っから無理しすぎ…馬鹿アン」
『エースに馬鹿とか言われるなんて屈辱…』
「そう思うなら、さっさと治せよ。」
手がひんやりしてるわけでもない…なのに、この手はどうしてこうも落ち着くんだろう。
『ん…エース…もう一個聞いていい?』
「なんだ?」
『なんでお風呂入ってんの?ってか服きてよ』
「あ、忘れてた。わりぃな…まだ寝てたし、風呂入りてぇ気持ちだったから」
パンツとズボンを履き、いつもの半裸状態で頭をガシガシと拭いている。
『そっか…みんな怒ってるかな』
「仕事か?」
『うん、投げ出したから…』
「怒るわけないよい」
ガチャと開いた扉からマルコが声をかけた。
「げっ…」
「お前ない、起きたら知らせに来いって言っただろい?」
「うっ…すまねぇ」
「はぁ…サッチに食べれるものでも頼んできてくれい」
「おう、じゃああとでな!」
エースはバタバタと走って行った。
『…怒ってないって…どうして?』
「むしろ、倒れるまで気づかなくて悪かったよい。」
『勝手にしてただけだから。』
そんなに辛そうな顔しないで…そう思った。
「隊員の隊長に配慮も出来なかった、俺のせいでもあるよい。ゆっくり休め。仕事気にすんない。親父にも許可取ってるからな、体調が戻るまで仕事は禁止だよい。」
『…うん、心配してくれてありがとう』
「…妹なんだい、当たり前だろい?」
妹…か。少し胸がもやっとした。なんでだろう。
「どうした?」
『い、いや…何にもないよ』
「そうかい? じゃあ、俺は戻るよい」
最後に頭をそっと撫でてくれ、部屋を出て行った。
『ッ…////』
「アンー、りんご食えるかーってどうした?顔赤いけど、熱上がったのか?」