【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第48章 おかえりモビー・ディック
「ンマー…見た目は同じでも…同じじゃない…がな」
『…そう、ですね』
「グララララッ!!俺たちの新しい門出にそんなしけた面してんじゃァねェよ」
『うん!』
「ンマー、なんだ、これから食事でもどうだ?」
『へ?』
「金の話はパウリーにしてくれ…ンマー行くか」
アイスバーグさんに腕を引かれて歩いていく。
「いや待て待てッ!!」
「なんでそうなんだよ!!」
「離せよい!!」
やはり止めに来るのはいつものおなじみ過保護三兄弟。
『せっかくですけど…したいこともあるので…また今度に』
「ンマー、そうだな。またウォーターセブンにでも来てくれ。時間を取ろう」
『えぇ…』
いまだ繋がれたままの手に少し違和感がある。
『あの…』
「ん?」
『なんでわたしを?』
「ンマー、一目惚れって言ったら信じるか?」
『え?』
「フッ、冗談だ。ンマー、少し、話してみたいだけだ。」
そういうと、手もさらりと解けた。
「グラララ…俺の娘に手ェ出してんじゃねェ。」
「すまんな…」
「アンー、早く来いよ!」
みんなの呼ぶ声にモビーへと上がる。
甲板も同じ形、旗も、でも船内は少しだけ使いやすくなっていた。
『おかえり…モビー…そして、よろしく』
小さく呟くとモビーが答えてくれたような気がした。
ガレーラカンパニーもしっかり代金を取り、ウォーターセブンへ引き返して行った。
その夜は新しいモビーの甲板で盛大に宴が開かれた。
「新しいモビーと俺たちの新しい門出に乾杯ッ!!」
「「「「かんぱーーーい!!」」」」
カンカンといろんなところでジャッキが合わさる音が聞こえた。
これぞ白ひげ海賊団と思って少し感動したのは内緒にしておこう。
エースがいつものようにご飯を食べて、みんなが笑い合いながら酒を飲む。サッチとマルコが言い合いをして、ハルタやラクヨウたちが楽しそうに見ている。親父様はナースたちにもお酒を止められて、それでも飲んで…!
これが…わたしの求めていた物
「アン…飲んでるか?」
「飲めよ!アンッ!」
「食えよ、これうまいぞ!!」
「アンちゃーん!マルコが!」
「うるせぇよい!!」
「はっ、寝てた…ん、なんだ?」
「グララララッ!!」
「船長さん、お酒はダメですよー!」
心に熱いものがこみ上げてくる。これがわたしの求めていた日常だ。