第47章 憎しみの連鎖

「俺が話したんだ。」
「次の落し前戦争じゃ…絶対に犠牲は否めないさ」
「だから、みんなに知ってもらうことにしたんだ。」

エースは少し帽子を深く被り、下を俯いていた。

「あんな思いをするのは俺だけで十分だ。」
『でも…』
「でもじゃねぇよい、それに何回も言ってるよい。俺たちは家族だ。お前1人が命をかけるなんておかしい話じゃねぇかい？」

口をつぐんだ…確かに私はこの人たちを守るためなら全てを犠牲にしようと思っていた。

「だからさ、俺たちと約束して欲しいんだ。」
「もうあの力は使わねぇ…俺たちの犠牲にはならねぇって」

みんながこちらを見てくる。その目は優しくて…少し辛い。

『嫌だッ！』
「おいおい、ここは約束するところだぜ」
「なら、お前はティーチとの決戦には連れて行かないよい」
「親父にもそう話は付けてる。」
『ずるい…先に手を打つなんて…』
「分かってくれな、お前さんを思っての俺たちの行動だ」

こんなことを言われて、はいと言わざる得ない。

『…わかった。』
「それでいいんだよい」
「仮にも俺らは隊長だ…自分のことは自分でなんとかするってな」
「親父に関しても…だ。」
「これ以上自分が犠牲になる必要なんてねぇ」
「約束したから、嘘つきは海賊の始まりだからな！」
「それを言うなら、コソ泥だぜ、エース」
「サッチ、それもちげぇよい。泥棒だよい」

あははと空気が和む、私はまだ納得してないが…。でも、まぁみんなの笑顔が続くならそれでいい。












そう思ってたんだ…本当に…みんなの笑顔…

「ゼハハッ、これでも終わりか…白ひげよォ！」
「ゲホッ…グララ…馬鹿言ってんじゃねェ」
「エースッ！！しっかりしろ！！」
「意識あるかよい！！」
「ないッ！！この傷じゃッ…」



『…ティーチィィィィ！！！！』
「こい、お前を潰してこそ俺はこの海の覇者になれるッ！！ゼハハハハッ！！アンッ！！」



ゆらゆらと揺れる黒煙、海楼石の弾…エースの傷、親父様の傷、みんなの傷…途切れそうになる意識…。




『…もう…仕方ないよね…』
「アンちゃん！？」
『約束…守れなくてごめんって言って…みんなに…』

大きく作ったその玉を一人一人に届くように矢を作り放った。

『…ごめん…最後まで…航海できなくて…』
「「「「アンッ！！！」」」