【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第43章 始まるエース争奪戦
こうしている間にも着々と時間は進んでいた。
「アンー、頼むよい」
『おっけい!!』
1日1回、私は1人海の上へ上がりニュースクーから情報を仕入れに行く。クーと降り立ったカモメはチャリンとお金を渡すと新聞を1枚もらう。
『ありがとう!』
〔火拳のエース公開処刑まであと24時間!!〕
ついにここまできてしまった。長い3日間、時間が迫ってくるに連れてみんなの緊張感は高まっていき、冗談や笑いがあまり飛びかわなくなっていた。
ちゃぷんも足から鎮めていく…明日の朝にはもう戦闘モードになっている。
「戻ったかよい」
『うん、これ…はい』
新聞を渡すとやはり眉間にシワを寄せるマルコ。
『この様子じゃインペルダウンで相当やられてそうだね』
「あぁ…あそこは脱獄不可能の牢獄だからない」
『…マルコ』
「わかってるよい…そんな心配そうな顔してたらみんなが不安になんだろい?」
『うん! 私、もう寝るよ。明日も頑張って動かすからね』
私が眠りにつくと海流は止まってしまう。もうすぐ正義の門が近い。エースも…。
戦闘服も準備した、サボと覇気の特訓もした。マルコやサッチにも訓練してもらった。決して弱いわけではない。でも今回ばかりは油断ができない。
『どうか…』
怪我はしてもいい…せめて…
『命を落とす人が少ないことを…』
窓から海の中を見る、こんな航海、次はエースも連れてみんなで…
「いいか!!処刑の時間は午後3時!!エースはそろそろ処刑台に上がるって調べはついてるよい!!」
「全員、かならず無事に帰れ…エースを連れ戻すぞォォ!」
「「「「オォォォォ!!!」」」
処刑の時間まであと3時間。私は急ピッチで海流を操り、海底を進んだ。
「アン…無理すんない。」
『今無理しないで、いつ無理するのよ。』
神経をいつも以上に集中し海流を操った。そして正義の門を越えたときからセンゴクの放送が耳に入った。
「…南の海にバテリラという島がある。母親の名はポートガス・D・ルージュ。」
海面に近づいていくたびに大きく聞こえてくるセンゴクの声。それは私とエースの出生の秘密を明かしているのだった。
『ッ…』
「女は我々の頭にある常識を遥かに越えて、子を思う一心で実に20ヶ月もの間、子を腹に宿していたのだ。」