【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第40章 決別
それは唐突にやってきた。仕事も片付き、甲板でのんびり日向ぼっこしていた時だった。
「アン副隊長! 電伝虫が」
『え?』
新人隊員が持っているのは、親父様用の電伝虫。
『どうして私?』
「本人の希望だよい」
後ろから来るマルコは少し青筋を浮かべていた。電伝虫の表情を確認するとその理由はすぐにわかった。
『どうしてまた私の方に連絡を?シャンクスさん』
[おいおい、そんな他人行儀な言い方はやめてくれ。いつもみたいにシャン愛してるって言ってくれよ]
『私、そんなこと言った事ないけど』
[そうだったか? あ、そうそう。近々、白ひげに会いに行く。その時にゃ出迎えてくれよ]
『会いに来るの?』
[手紙で伝えただろ? マルコもそこにいるんだろ!ちゃんと伝えたからな!]
「いつ来るんだよい」
[今からこっちの監視船をとりあえず潰す。そのあとだな。]
『どこにいるかわかってんの?』
[まぁ…なんとなくな!! じゃ、そういう事だから!]
一方的に切られる電話にちょっと苛立ちを感じた。
「勝手なやつだよい」
『ってか、今の連絡なら私じゃなくても良くない?』
「確かにない。親父には伝えとく。隊長たちにもな」
『お願いしまーす』
「だらだらしてんなら、手伝えよい」
『えぇ〜』
シャンクスがくるのにそれほどの時間はかからなかった。その日は天気も少しどんよりとしていて、空気もいつになく重かった。
「親父! 親父! 赤髪が親父に会わせろと!」
「あァ…通してやれよ…いい酒は持ってきたんだろうなァ…小僧が。」
ゆっくりと近づいてくる赤い竜の船。
『来たね〜』
メインマストの上から見るとまだまだ距離を感じたので少し手伝ってあげた。横に並ぶ船。この光景はあの海軍時代に無理やりさらわれたとき以来だろう。
「来るぞ…赤髪が」
「若ェ衆は下がってろい、身がもたねェぞい!」
「え…身が持たねぇってのは一体…」
「いいから奥へ行ってろい」
マルコは新人たちに声をかけるが、一足遅かったようだ。バタンバタンと倒れていく新人達。船が軋むような重圧。
「え!?お前らどうした!?なにが起きてんだ!?」
「あぁ…もう手遅れかい。アンー、降りてきとけよい」
『もういるよ。騒がなくても大丈夫。気を失ってるだけだから。』
多くの仲間が次々と気絶していった。