【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第37章 兄の場所
ふと柔らかい朝日の光に目が覚めた。
『ん、あさ…か』
部屋を見渡してもやはりベックは帰ってきてなかった。
『別によかったのに…』
言葉を呟くと、またネチネチという我が船の長男が浮かんだ。
ーそういうところが分かってねぇって言ってんだろい!
『はいはい…分かってますよー。』
赤髪海賊団の副船長はさすがというか…なんというか。船室にはシャワーも付いていたので、遠慮なくお借りした。
『いつも海に潜っているとはいえ、真水と塩水では全然違うし、そもそもお湯じゃないから入ってる感じしないし。』
シャワーから出ても、まだ船で動く気配が全くない。ふと机にあった懐中時計を見ると午前6時を指しているのが分かった。
『そりゃそうか…』
顔を整え、服を着る。もちろんモビーでは着れないデザインだ。
部屋をそっと出て、鍵をいつものように能力使う。甲板に向かうとやはり思っていた通り、酒瓶やらなんやらがゴロゴロと転がり、船員は皆眠っている。
『ま、急ぐ旅でもないか…それに一宿の恩は返しとかないとね。』
改めて船内に戻ると、パタンと甲板に繋がる扉を閉めた。
『ウォーターシャボン…バブル!!』
水のシャボンで船内を掃除する。モビーほどではないとはいえ、やはり四皇なだけあり船は大きい。
『時間もかかるだろうし、あっ!サッチが教えてくれたあれ作ろう!』
食堂へ向かい、食材を確認する。
『ある!!流石、四皇のコックさん!!世界の調味料がある』
二日酔いにはこれが効くんだよな〜と笑いをこぼしていた、サッチを思い出しワの国のスープを作った。
『ビンクスの酒を届けにゆくよ、海風気任せ波まかせ〜♪』
味を確認して出来上がると、シャボンの掃除も終わってようで船内がピカピカになっていた。
『私って便利な家政婦よね〜、さ、次行こう』
お鍋はそのままコンロに置き、洗濯場へ向かう。
『うちよりは少ないか…』
洗濯物は定期的にしてるんだろう…量も多すぎず、でも少なすぎず…と言った感じ。
『ま、関係ないけど…。』
いつもモビーでしていたように水の玉の中にドンドンと洗濯物を入れていく。流石に船内でしているから小さめのをいくつか作り分けた。洗い終わると、大きな籠を引きずりながら甲板へ向かう。
流石に昼も回ろうとしている時間なのでちらほら起きている船員たちもいた。