【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第37章 兄の場所
やっと、重い腰をあげて覗きに来たのは、赤髪のお頭さん。
「ねえちゃん、こいつはやめとけ!女には興味ねぇみたいだからな!」
『あら…私はふしだらな殿方より、誠実な副船長さんの方がいいわ』
「「ぷっ、あはははっ!!!」」
「お頭がふられてんぜ!!!」
「ひーッ!!こりゃいいなっ!!!」
「そりゃねぇよ、ねえちゃん。こりゃ、忠告だぜ?」
『…私を好いてくれる人はどうも他に目がいきがちになるのよね。やっぱり本気じゃないってことよね、ベック』
「あぁ…そういうことだ。現にこいつは気付いてないぞ」
「は? 何そういう仲なの?」
『まぁ…ね。シャンクス船長。』
背中越しに話していたので、振り返って顔を見せてあげるとみるみると青くなっていくシャンクスがいた。
「アン…な、なんでここに」
『シャンクスはあんなに好きだ好きだ言ってくれていたのに、やっぱり嘘だったのね。』
と冗談まじりに言ってあげると更に青くなっていく。いやむしろここまでくると白い。
「船長さーん?どうしたの?」
「楽しみましょうよー」
不審に思った女たちが声をかけにくるが、反応を示さない。そしてヤジを飛ばしていた船員たちもその空気の異質さにやっと気付いたようだ。
『こんばんわ、赤髪海賊団の皆さま。どうぞ、酒の席を邪魔する気はありませんのでゆっくり続けてくださいな。私はこちらの殿方をお借りしますね。』
ベックの腕を引いて、船内に入っていった。
「やり過ぎだ。」
『何もしてないよ? 雰囲気ぶち壊しにする前にちゃんと出てきたでしょ?』
「もう遅い…」
『えぇ? それより、ここ何日もあんまり眠れてなくて…部屋貸してくれない?眠いのよ。』
「なんか…海軍の時より垢抜け過ぎじゃないか?」
『みんなに言われる…でもエースと双子なのよ?こんな感じよ普段から。ふわぁぁ…』
大きなあくびをすると、少しをため息を吐いてベックマンは鍵付きの部屋に案内してくれた。
「俺の部屋だ。鍵をかけてねろ。俺しか持ってない。」
『ベックはどこで寝るの?』
「まだ宴は続く、そこらへんで雑魚寝するだろうよ」
『そう…じゃあ、遠慮なく。』
「明日にはちゃんと話せよ。なんでここにいるのか」
『うん…おやすみ』
「あぁ。」
カチャンと鍵を閉める音、中に入るとすごく綺麗な部屋に驚いた。
そのままベットへ潜ると意識は遠くなっていった。