【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第37章 兄の場所
「だーっはっはっは!!今日の酒はうめぇ!!」
「お頭、また飲みすぎんなよ?」
「うるせぇ! こんないいお姉ちゃんたちが酌をしてくれるなんて酒がどんどん入っちまう!止めんじゃねぇ!」
「やだ〜、もうお頭さんったら!」
「お上手なんだから!」
船の船尾より上がり、甲板で酒盛りをしているであろう奴らを見ていた。もちろん気配は消していた。
「おい、ベック!! 飲んでるかー!」
「副船長さんもどうぞ!」
「いや、俺はいい。」
「そう言わずに〜、どうぞ!」
断っているベックにもお酒をつぎ、周りの船員たちもぐでんぐでんだ。
『いま、海軍に襲われたら流石に捕まりそう…』
来ていたフードを脱ぎ、服を着替える。オフショルダーのトップスに私用にデザインしてもらったマークの見える服。したは七分丈のスリムパンツ、靴もハイヒールのサンダル。モビーでは絶対着れない服だ。だって怒られるし。
『ボロボロになった服は…ま、後で捨てよう。それより、疲れたからベックとか部屋貸してくれないかな?』
コツンコツンと歩くたびにヒールの音が聞こえるのがすごく好き。
「おぉー、ねぇちゃん。こんなところにいるんだったら、俺にも酌してくれよ。」
『…いや。まぁ、副船長さんだったらいいわよ?』
「お、じゃあ副船長にしてやってくれ!」
酒瓶を一つ渡される。普通に甲板に入り、ベックの隣に並び先ほど女がやっていたように酒を進めた。
『副船長さん、もっと飲んでくださいな?』
「いらん」
『あら…私のお酒は気に入らない?』
「別に…興味ないだけだ、」
こちら振り返りもせずにタバコに火をつける。
『タバコの吸い過ぎは体壊すわよ?』
「さっきからうぜえ…お頭の方に行ってやれ」
『赤髪さんは好みじゃないの。ねぇ、今夜止めてくださらない?』
「は? 何言って…」
そう言ってやっと振り返ったベックは目を大きく開けていた。
「なんでここにいる?」
『海から上がったらたまたま船があったから。』
「そんな理由で仮にも敵船に乗るのか?」
『あら、敵なの?』
「当たり前だ…」
『なら、部屋貸してくれるとかできないよね。島に行くわ…宿取らないと。』
「待て待て…その格好でか?」
『えぇ、何か問題でも?』
「大有りだろう…よくマルコや過保護な連中が許したな。」
『許してもらえないから今着てるのよ。』
「おい、ベック…喧嘩か?」