【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第33章 船での裏切り
俺の隣に眠っていたアンは顔が青白かった。輸血で命を繋いでる。
「エース隊長もう大丈夫ですよ、ほら」
ナースの言うように顔を見てみると、青白かったはずの顔はいつもの血色の良い顔に戻っていて、心から安心した。
「良かった…」
「そうですね。」
マルコも安心したのか顔を見ると、すぐに親父の部屋に向かっていった。
「エース…ほんと…すまねぇ」
俺、アンの隣に寝かされていたサッチは重度とは言わないがやはり貧血のようで寝かされていた。
「なんで謝んだ?」
「俺のせいで…アンちゃんの…」
「そりゃ…アンが決めたことだ。現にアンは満足してると思うぜ?」
サッチは少し体を起こして、顔を覗くとまた涙を流した。
「だから、泣くなって…男が女々しいぞッ」
「お、おまッ、もうちょっとかける言葉考えろよなッ」
マルコが戻ってきた。
「やっぱり、ティーチはこの船にいなかったよい。小舟も一隻なくなってる。」
「そうか…」
「マルコ…俺はあいつが許せねぇ」
「エース…」
メラメラと心の内側に宿る憎しみの黒。
「あいつはッ、親父に育ててもらっておきながらッ親様の顔に泥を塗った挙句、俺の家族を傷つけたッ!!絶対許せねぇッ!」
「エース…誰も死んでねぇよい。それだけでいいんだ。」
『…え、す…』
微かに聞こえた声に一同はその声の主へ目をやった。
「「「アンッ/ちゃんッ!!」」」
身体がポカポカと暖かかった。少し思いまぶたを開けるとエースが何やら暗い目をしているのが見えた。声を荒げていた。
『…え、す…』
声を出すのも痛くて…傷を少し触るけど塞がっている。マルコが直してくれたんだろう。
「大丈夫かッ」
『…う、ん』
「全く無茶したない」
「アンちゃんッ、俺、ほんと…ッ」
『サッチ…無事でよかった…』
「ほらな?」
エースは少し誇らしげな顔をしていた。
「俺は親父に報告してくるよい。」
「俺も行く。もう大丈夫だ。」
マルコとサッチは親父様に会いにいった。ナースたちも気を利かせてくれたのかそばにおらずエースと2人きりだった。
「アン…さっきの話聞いてたか?」
『…ティーチ…のこと?』
「あいつは俺の隊だッ…親父がなんと言おうと俺はけじめをつける。俺があいつを始末するッ」