第32章 島での裏切り

「アンちゃん、私たち男娼に行くけどどうする？」
「女の子もたまるものでしょう？」

お昼近くなり、仕事もひと段落ついたところでナースのお姉様方からのお誘いが来た。

『うーん、私はそんなに…。今回はやめとくねー。
買いたい物もあるし、少し気になることもあるから。』
「そう？じゃあ、行ってくるわね」
『いってらっしゃいー』

ナースのお姉様方を見送ると、手元の書類に目を向けた。
サリアが降りると決まってから電伝虫の使用が多かったと聞いた。その通話記録を見ていると、どうやら、毎日決まっておんなじところに連絡をしてたようだ。

『流石に海軍にかけて確認してもらうわけにはいかないし…。あ、うまくいけばいけるかも。』

青い帽子の情報を多く持ってそうな人がいる。前にもらったビブルカードの裏に書かれていた番号へつなぐ。

ｶﾞﾁｬ〔誰だ。〕

すごく警戒していることが言葉からわかる。

『覚えてるかな…アンだよ。』
〔えっ？ｶﾞﾀｯｺﾞﾄｯほ、本当にアンか！？〕
『そんなに暴れなくても…そうだよ。久しぶりだね、参謀総長さん。』
〔サボでいいって言ってんだろ？それよりどうしたんだ？意味で一回も連絡なんてなかったのに。〕
『サボは…私を助けてくれるよね。』
〔あ？当たり前だろ？何かあったのか？〕
『いや、ちょっと気になるところがあって…。調べてくれそうな人がサボしか思いつかなかった…いいかな？』
〔うーん…情報によるけど…聞くだけ聞いてみるよ。〕
『コール番号のこと…調べて欲しいんだ。』
〔番号は？〕
『XXX-000X-0X0Xなんだけど…ごめんね。こんなこと頼んで。』
〔誰にも言えねぇんだろ？いいよ…ちょっと調べてみるから後でかけるからな。〕

ｶﾞﾁｬと音が鳴り、電伝虫は眠りについた。

『勘違いならいい…それが杞憂なら…』

昨日、サリアが電話しているところにあって、少し小耳に挟んだ言葉。それがまさか…

『ジョーカーなんて…』

あいつにつながらなければいい。あいつが出てこなければそれでいい。もともと家族だったものに内通者がいるとは思いたくない。

『どうか…お願い…』

家族を…みんなを巻き込まないで…

それから、サボから連絡がすぐに来た。

〔おい、どういうことなんだッ！なんで…あいつの電話番号がッ！！〕

あぁ杞憂で終わって欲しかった