【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第31章 能力者の覚醒
『うん、ごめん…』
「約束したじゃねえかッ、あん時にッ!!」
『うん…』
「破ってんじゃねェよッ…くそッ」
『うん…本当ごめんね…でも、わかってよ。家族を見捨てたくなかったんだよ。化け物だと呼ばれていた私たちを弟として妹として見てくれる人たちを見捨てるなんてできなかったんだよ…』
「…わかってる」
『これからはできるだけ使わないよ…』
「できるだけじゃなくて、絶対ェ、使うなよッ!」
『私は私の命よりも家族を大切にしたい。』
「アンも俺の家族だ。」
『知ってる…』
少し目が赤くなっているエースは同い年なのに少し幼く感じてしまう。
『可愛い弟のためだ長生きをする努力はしよう』
「ばかいえッ!俺がにいちゃんだ」
どうやら機嫌は戻ったようだ。いつもの太陽みたいな笑顔が戻ってきた。
「アンッ!」
振り返るとおでこに感じた熱…。
「しししッ!!兄妹の特権!」
どうやら、おでこにキスをして満足したようだ。海流を使い、船の甲板に上がるとそこには鬼の形相のマルコが待ちわびていた。
ゴンゴンッと勢いよく拳が頭に降り注いだのだった。
「『いってぇ!!/いったい!!』」
「何してんだよいッ!!死んだかと思っただろうがッ!!!」
「『すまねぇ/ごめんなさい』」
「仲直りはできたようだから、いいけどよい。心配かけんじゃねえよいッ、末っ子どもがッ!!定例会するぞ!!
今回はお前たち2人共参加だからない!!」
逃げようとしたエースの襟首を掴み、ずるずると引きずりながら船内に戻る。
「あ、ちょっと待てってマルコッ!」
「なんだよい…」
「アンッ、こっち来いよ」
エースが抱きついた瞬間、駆け巡った絶叫と熱風。
『服…乾かしてくれたんだ。』
「ちょっとだけさっき濡れたからなッ!」
『ありがとう…さ、いこッ』
後ろで倒れていく屍たちは見て見ぬ振りして、再び船内へ歩き出した。
「全く恐ろしい奴らだよい。」
「なんか言ったか?」
「なんでもねぇよい。」
「アンさんとエース隊長ってどういう関係だ?」
「付き合ってんのか?」
「俺狙ってたのにー!」
新参者はまだ知らない。この2人は双子で実の兄妹であるということを。
「これで牽制になるなら、もうちょっとおいとくかよい」
『何か言った?』
「なんでもねぇよいッ!」