【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第31章 能力者の覚醒
「やだ、すごく男前…」
「本当、俺らの面子が立たないよい」
3人は冗談を言いながらも部屋を出て行った。私も後を追うように甲板にむかう。大きな扉の向こう側は昨日は戦闘があったとは思えないくらいに綺麗になっていた。
「あ、アンさん、お疲れ様です」
「昨日はありがとうございました!」
「かっこよかったです!」
船員は多少怪我はしているものの、元気そうに働いていた。
『うん、お疲れ様…で、エースを探してるんだけど知らない?』
「あぁ…エース隊長ならあそこに。」
隊員の指を指したところを見た時だった。ゴウと熱い風が甲板をかけた。
「うるせェッて言ったんだろッ!!二度とくんじゃねぇッ!!」
向けられた言葉の先にはサリア…昨日といい学習してほしい。
それに加えてエースはとてつもなく機嫌が悪いはずだ。
「なによ…ちょっとくらい相手してくれてもいいじゃない!」
「うるせぇッ!!これ以上近寄ってくるなら燃やす…」
エースの片手には炎…脅しではない。誰もが怯むくらいの覇気。
「ッひ、化け物…」
「消えろッ!!」
『エース…ダメだよ。家族殺しはご法度。あと、覇気もしまって…みんな倒れちゃう。』
エースの炎に手を水にして重ねると火は消える。覇気は消えていく苦しそうな顔をしていた船員たちもなんとか気を失わないで済んだようだ。
「アン…こいつ」
『うん…わかってる。サリア…ナースの仕事に戻って。昨日のこととここ最近のこと、全て親父様には話させてもらうね。
あと、エースは渡さないよ。』
サリアは涙をポロポロ流し、甲板で泣き始めた。それを見向きもせずに船の梁に登った。
『エース…少し頭冷やそうか…お互いに。』
「あぁ…」
2人で海の方へ倒れて船から落ちる。
「「「「エース隊長ッ!!!!」」」」
「「「アンさんッ!!!!」」」
バシャンと大きな水しぶきを上げて、海へ沈む。しかし、エースと2人シャボンで身を包んでいるのでエースが海の影響を受けることはない。呼吸もしっかりできる。
『きっと…あとで怒られるね。』
エースは何にも言わず、私の肩に顔を埋めた。冷たくなっていく服に泣いていることを悟る。何も言わずにエースが話し出すのを待った。
「嘘つきやがって…」
『ごめんね…エース』
「あの力は…お前を殺す力だ…。使うなよッ!!」