【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第31章 能力者の覚醒
「エースが怒ってた理由もわかるよい。」
「くそッ…さっきの条件なんか飲むんじゃなかった。」
『そんな顔しないで…』
「なんで代償が寿命だと?」
『昔、この実の教えてくれたのはおじいちゃんだったけど。能力の使い方を教えてくれたのはいつも海だったんだ。操り方も、どの程度使えるかも…この海のみんなが教えてくれた。
覚醒を覚えた時もおんなじ…海のみんなが言ってた。
無闇に使わないで、それは命を削るから…って。
ま、こんな話信じなくてもいいけど…。』
「エースとの約束の話聞いてもいいか?」
『えー、手短に話してもいいなら。』
「かまわねぇよい。」
『昔、おんなじように大事な子を助けようと力を使ったことがある。その子は傷だらけで血も多く出ててとても助かるわけがないと思ってた。でも海が教えてくれた覚醒した能力があったから使ってみた。確信はなかったけど…その子の傷はみるみる消えていつものように戻った。そのあと、私は身体中が軋むほど痛く、吐血した。
でも数時間で元どおりになってたんだけど。』
あの時、エース顔真っ青にして焦ってたなぁなんて呑気なことを思い出した。
「そん時かエースとの約束ってのは…」
『そう、エースとは二度とこの力を使わないと約束した。
エースとその子以上に大切なものなんてなかったから、その時はいいと思ってた。』
いつも笑って一緒に過ごした彼ら以上の存在なんてなかったから。
「過去形で話すんだな。」
『でも…今は昔と違って大切な人も物も増えた。エースの他にも家族がいて…私の力があるのに見捨てるなんて選択肢ないよ。
あの時みたいな後悔は二度としたくない。』
「…よい。わかった、俺たちは約束があるから止められねぇし、咎められねぇ。だからよい。」
「簡単な話使わねェようにすりゃいいってことだろ?」
「そうさね、使う状況を作らなければいいだけだ。」
みんなは少し困った顔はしていたが、理解をしてくれたようだ。
『そうだね…そうしてくれると長生きできるよ。』
「言うねぇい」
「そもそもマルコがいればいいんじゃねぇの?」
「確かにな、マルコの再生の炎があればいいわけだ。」
『そうだよ、マルコがいればいい。』
「おいおい、俺に頼りっきりになるなよい。」
「ちなみに寿命ってのはどれくらい使うのかわかるのか?」
『さぁ…分かんない。でも、命は惜しまないよ。家族だからね』