【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第30章 家族を守るため
それは、戦いの場にはいてはならない、そして聞こえてはいけない人の声だった。
「なにしてんだッ!!戻れッ!!」
ピンクの服に身を包み、いつもエースの近くにいたナース。
『サリアッ!!!』
「やだ〜、みんなこわい〜!!」
敵が気付く前にとみんなで大声をかけたのが間違いだった。
「へッへッへッ、こんなところに白ひげんとこのナースか。」
「い、いやァ!!」
刀を振り上げてナースに狙いを定めていた。
「どけッ!!!ッグァ!!」
「イゾウッ!!!」
「「「「隊長!!!!」」」」
ナースを押し倒し、振り下ろされる刀を受けたのはイゾウだった。
「あ、イ、イゾウ隊長…大丈夫ですか?」
『止血してッ!!早くッ!!!』
サリアは頭がパニックになっているのか止血もままならない状況だった。
「どけッ、タオルッ!!担架を早くッ!!!」
サッチが近くに来て、止血を続ける。自身のタイを使い止血を試みるが、みるみる赤に染まっていくタイではとても防ぎきれない。
「くそッ…マルコはまだか!!」
サッチに止血をとりあえず頼み、敵の殲滅をした。
『大蛟玉ッ!!!』
水で大きな蛇を作り出し、敵を船の外へ落としていく。海では渦潮を作り出し、敵が上がってこれないように固定する。
『水流弾:ウォターガン!!!』
いくつもの小さな水の玉を一つずつ狙いを定めて、敵の眉間に打ち込んでいく。ドォンと敵船の一つから火の手が上がった。
『エース…』
「アンさん!あとは雑魚です!何とかなります!!」
『油断しないで!!』
他隊長も出てきてくれて殲滅はすぐにできそうだった。
「アンちゃんッ!!」
『イゾウは!?』
「医務室も手一杯で回れねェそうで、でもこのままじゃイゾウが死んじまうッ!!マルコはまだ戻ってこねェし!」
『……エースには内緒にしててくださいね。』
「なに言って…」
手のひらを合わせ意識を集中し、ゆっくり開けると緑色の水の玉ができていた。
「なにに使うんだ…」
『能力者には2つあるんです。1つは能力をただ自身の体のみに反映させる普通の能力者…そして2つ目は“覚醒”と言われて他人にも能力を影響させる力を得た能力者。』
水の玉をそのまま、イゾウの傷へ流し込むとみるみる傷は塞がっていく。
「傷が…」
『これで…大丈…ぶ…』
「アンちゃん!!!!」