【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第24章 腕試し
『ッあ…カージマス…かッ』
「何だ知ってんのか?あぁ…勿体ねぇけど。白ひげの奴らを殺せるなら使う価値はあるってもんだ。」
男は髪の悪い笑みを浮かべていた。
「おい、お前…誰だ?!」
周りの海賊たちは男に問う。
『なか…まッでしょッ!!』
「いーや、違う。おれはこの戦いに便乗して首を取りにきた、ただの賞金稼ぎだよ。」
悪いこととは続くものだ。まさか、白ひげのところで違う海賊を装い待機していたのか。
『ッゲホ…』
「おーおー、痛そうだ。可哀想に…」
男は最後の一撃と言わんばかりの刃を振り上げた。
「じゃあな…大海の天使さんよ! これでおれは金持ちだ!!」
海楼石が刺さっていてうまく動かない身体を鞭打ちながら避けようとするも遅すぎた。死を覚悟した時だった。ドンッ男が目の前を横切って飛んで行った。
「グアッ!!!」
「…おい…おれの妹に何してんだよ…」
熱い炎を体に纏い崩れかけの船から飛び降りてきたのはエースだった。
「…火拳もいたのか…いひひひ。いいねぇ。」
口元の血を拭いながら立ち上がる男はニタニタした笑みをこちらに向けていた。一方、エースはこちらを一切見ずに相手を見ていた。
『エ…ス…ッ。待っ…て』
声をかけて、やっと目があった。
「アン…お前ッ刺されてるじゃねェかッ!!ッ…海楼石かッ!!!」
『…エース…アイツはッドーマの一味…じゃッ、ない!!』
「なに…そうか…このオヤジの島で暴れる奴がまだいたとはな。」
エースの敵意は完全に男に向いてしまった。
『…ドーマはッ!?』
「あいつは…倒したから安心しろ…な?」
『倒しちゃ…ダメでしょ…ッ。』
「いひひひ、…おれを無視とはな…やってくれるぜ。」
男は刀を振り上げてこちらに走り込んできた。
「ふッ、やってやるぜ!!」
その刀はエースに向かっていると思われた…その時、後ろから引かれる圧迫感を感じて息が詰まる。
『ッア!!!』
「アンッ!!!!」
「あれ、言ってなかったか? おれは1人じゃねぇの。」
「相棒って奴だよな。相棒…」
木陰から出てきたもう1人の男に腕を思いっきり引かれ、首を掴まれそしてナイフが首に当たった。
「てめぇ…ッ!!!」
「おっと…一歩でも動くとこのお嬢ちゃんはスパッとな?」
「くそがッ!!!」
首筋を暖かいものが流れていった。