第1章 風邪っぴきさん。
「って、お前またっ…」
そう言われて、自分がまた泣いてしまっていることに初めて気づいた。
「嫌だったんなら、ごめん。ほんとごめん。でも、どうしても伝えたかった。もし、今日ここにいるの嫌だったら、タクシー代出すから帰ってもいいぞ。」
私の涙を見て達央さんはそう言った。達央さんには勘違いされてる。私は別に好きな人がいると。
両想いだった。ずっと叶わないと思っていたこの恋。
今自分の気持ちを言わなかったら一生後悔する。
言うしかない。
「あの、私、」
「うん、帰るよな。」
「いや、そうじゃなくて!」
「え、?」
「あの、私の好きな人は、、、」
「いや、いいよ、誰か聞きたくてこれ言ったわけじゃないからさ。」
達央さんは寂しそうな、辛そうな顔でそう言う。
でも私はそんな顔をさせたいんじゃない。
「そうじゃなくて、あの、私が好きなのは、」
「はー。だからさ、」
「達央さんなんです!」
「……は?…」
私が発した言葉に、達央さんは固まっていた。
「達央さん??」
「ん、あ、え、えっと…?」
「私も、達央さんが好きです。」
1度言ってしまえば、もう一度言うのは簡単だった。
想いを伝えたい、それが私の一番の気持ちだ。
「ごめん、まって、理解できてない。えっと、俺とお前は両想いだってこと?」
「そういうことになりますね…」
「あーーーもーー!!!」
「!?」
突然達央さんは私に抱きついてきた。
そして頭をわしゃわしゃとされる。
「まじかよ!?え?なに、なんなの。俺の落ち込んだ時間返せ?悩んだ時間返して?」
「私も落ち込んだし、悩みましたよ…!お互い様です」
「そっかぁ、そうだったのかぁ」
あの寂しそうな顔は落ち込んだ顔だったんだ。私のことで悩んでくれたんだ。そう思うとなんだか嬉しくなってしまう。
「*、お前なにニヤニヤしてんだよ」
「いや、達央さんも悩んでたんだなって思って。」
「くそー。ほんとお前に好きな人いるって聞いて、結構傷ついたんだからな!」
「ふふ!達央さんでしたー!」
「あーもー!くそっ…ほらこっち向け。」
「え?…んんっ…」
達央さんの方を向くと、すぐに達央さんの顔が近づいてきて、キスされた。
「んん、だめ、、、風邪、、うつっちゃう」
「いーよ、てかもう、うつるならとっくにうつってんだろ。」
「もう、、、」