第1章 風邪っぴきさん。
『これで終わりです!お疲れ様でした!』
「「ありがとうございました!お疲れ様でした!」」
(終わったぁ…なんとか乗り切った…でも、もう動けない…とりあえずみなさんが帰ってからゆっくり帰ろう。)
みんなが帰ったのを見計らってゆっくり帰ろうと思ってみんなを見送った。もう無理、スイッチオフだ。
「はぁぁ…」
「*、」
「ふぇ!?た、達央さん!?」
「はい、俺ですが?」
みんな帰ったと思ってたら、後ろから急に達央さんに声をかけられた。やばい、私もういつもの笑顔に戻せないレベルまで、来てるんだけど…スイッチを戻す気力も残ってない。でも、なんとか繕わなきゃ…
「た、達央さんどうしたんですか?」
「んー…じゃあ、単刀直入に言うけどさぁ?お前今体調悪いだろ?」
え、バレてる!?いや、だめ、体調も管理できないって思われちゃう…。どうにか乗り切らなきゃ。
「え…?いや、、、そんなことないですよ!!元気です!」
「ふーん…じゃあさ、今すぐ立ち上がってみ?」
「え、、、いやです」
今は立ち上がる気力すら、無い。絶対ふらつく。そうしたらバレる。それだけは勘弁だ。
「なんで?立ち上がるだけだろ?」
「いやです。」
「そ、じゃあ、失礼しまーす。」
達央さんはそう言いながら、手を私の額に近づけてきた。
熱がバレると思ってとっさに避けようとしたけど、その瞬間そのままふらついて、倒れそうになってしまった。
「おっとっ!あぶねぇ…」
「あ、すいません…」
「はい、おでこなー。」
倒れる前に、達央さんが抱きかかえてくれた。でも、そのまま額に手を当てられてしまった。
「あーあ、やっぱりな。お前すっげぇ熱だぞ」
「うぅ…はい…」
「はぁ…」
やばい、呆れられた…
「すみません…でも大丈夫ですよ。」
「お前さぁ、立てねぇんだろ?」
「いや、そんなこと…」
「あるだろ。あのなぁ、仕事穴開けたくねぇのもわかるけど、無理して悪化させてどーすんだよ。」
「すみません…」
「謝るなら、きついときはちゃんと休め。」
「はい…」
達央さんの言うことはごもっともだ。
無理して逆に迷惑をかけてては、意味がない。
「ご迷惑おかけしてすみません…私はもう少し休んだら、帰ります。達央さんも早く帰ってきちんと休んでくださいね。」
「だぁー!もー、お前なぁ…」
「ふぇ…!?」
