第1章 偶然の出会い
光輝く太陽が出始め、静かだった街がだんだんと騒がしくなる頃。
路地裏でたった一人息切れをしている。
店を出てから一睡もせずに男を探したが、全く見つからず気がつけば朝になっていた。
すぐに見つかると思えば全く見つからないこのザマ。
いくら小さい島とはいえすぐに見つかると考えていたのが甘かった。
……彼は一体何者なのだろうか。
呼吸の乱れをゆっくり整える。
それにしてもどこかで見た事がある、彼が被っていたあのモコモコ帽子。
一体どこで見たんだろうか。
それが分かれば少しは手掛かりにもなりそうなのだが。
「はぁ。」
は路地裏に置いてあった木箱に座り、深いため息をついた。
だいぶ乱れていた呼吸は整ってきた。
何時間も休むことなく探していたの身体は限界を迎えている。
“おい黙れ。”
“さっさと金出せ!”
はっと我に返ると、どこかで男達の大きな声が耳元に届いた。
「え……?」
何も考えずにぼーっとしていた。
身体はもちろん、見つかるのだろうかという不安が心を支配し、精神的にも限界だからか無意識的に現実逃避をしていたのだと思う。
それにしてもさっきの男達の大きな声は何なのか。
ハッキリ聞こえた為、この場からそんなに遠くはない。
……行ってみよう。
木箱から降りその場で背伸びをし、声がした方に向かって歩く。
“いい加減に離せ!”
“俺達なめんてんじゃねェぞ!”
真っ直ぐ歩き、曲がり角を曲がると3人の男が少女を囲んで蹴っている姿を目にした。
少女は何か持っている物を男たち渡さないとしっかり握っている。
「やめて!」
少女が離さないので、男達は頭や頬を叩いたり殴ったり蹴ったりしていた。
子どもとはいえ手加減無しの男3人。
「ダメ、このお金はお母さんの物!」
「いいから渡せ!」
「こちとら3日間なにも食ってねェんだよ!」
暴行を続ける男達。
その光景を見ては……
ーーー子ども相手に許せない。
両太腿に着けているホルスターに手をかけた。