第5章 学園
(あれ)
ふと教室内にルルーシュ以外の見知った人物がいるのにカナは気づいた。
柔らかそうな四方に散った栗毛色の髪。エメラルドの瞳はカナを映して驚愕に見開かれている。
(スザク)
目があって、忘れていた先日の出来事がぱっとカナの脳裏に浮かんだ。
一瞬にして気まずくなって、カナは慌てるようにスザクから視線を引きはがした。
間違いない。
数日前、ユフィと共にエリア11で再会し、行動を共にした幼馴染の1人、枢木スザクはそこにいた。
カナにとって生まれてはじめての授業はとても新鮮だった。
終了を知らせる鐘がなり、どうしたらいいかわからず呆然としていたら、すぐに大勢の生徒に囲まれ、洗礼とも言える質問責めにあいカナはその場から動けずにいた。
人の隙間からスザクに視線を移せば、スザクはそそくさと教室内を立ちさっていくのがみえた。
「ごめんなさいっ」
愛想笑いをするのも忘れ、そう一言告るとカナは、スザクの後を追うように教室を立ち去った。
すぐに追いかけたつもりなのにスザクの姿は既になく、カナは深いため息をついた。
(どうしよう)
教室に戻れば、きっとまた質問責めにあうだろう…そう考えると引き返そうとする足は重くなり、結局カナはこのままスザクを探すことにした。
シュナイゼルの屋敷とどちらが広いだろうか。そんなことを思いながら校内を歩き回っていたら、見知った背中をみつけた。