第5章 学園
「でも君は変わってるね、僕を嫌う理由なんて普通ならたくさんあるのに」
「イレブンってことをいってるなら、私も同じだから」
「っ!え!?」
スザクは驚愕して目を見開き、まじまじとカナの顔を見つめるスザクに、カナは深く息を吐いた。
ここまでいっても気づかない鈍感なスザクでも名を名乗れば、流石に気づいてくれるだろう、そう痺れを切らしたカナは、覚悟を決めたように口を開いた。
「私も日本人だよ、姓は…」
「カナ」
名乗り切る前に、カナの名を呼ぶ第三者によってそれは遮られた。
二人は声のした方向に視線を向ければ、そこにはしかめ面をしたルルーシュがいた。
「ルルーシュ!」
カナとスザクは同時にルルーシュの名前を呼ぶ。
そしてその後、スザクはえ?と驚いたようにカナの顔を見た。
「さっさと教室を出て行くな、カナ、スザク。…とくにカナ、お前は初日なんだから、目立つ行動は控えろ」
そう言いながら、ルルーシュは大きなため息をついてみせ、スザクの横にいたカナの腕むと、自らの隣に引き寄せた。
「ご、ごめん…」
「まったく…なにもなかったらよかったものの…お前が急に出て行くから、みんな心配してたぞ。早く戻ろう」
「えっと…」
ナナリー以外の女の子にこんなに献身的になっているルルーシュを見るのは始めてで、スザクは戸惑ったように声を上げ、カナとルルーシュの姿を見比べた。
「二人は知り合いなの?」
「…スザク?なにをいってるんだ」
控えめなスザクの問いにルルーシュは眉を潜めた。