第5章 学園
「カナ・フィリタリアです。宜しくお願いします」
にっこりと愛想笑いを浮かべて一礼したカナはアッシュフォード学園にいた。
フィタリアというのはもちろんカナの偽名だ。
関和という日本の姓のままでは、なにかと面倒だからという理由でルルーシュが提案してくれたものだった。
あれから、ルルーシュと話し合った結果、ルルーシュは人と交流をもてなかったカナのためにとアッシュフォード学園を編入を勧めた。
そしてそれに従いルルーシュは手続きまで行ってくれたのだ。
それに加え、住まいはクラブハウスへと移住することになった。
さすがに自らの居住くらいはどうにかしようとカナは、胸の内をルルーシュに明かしたが、ルルーシュは遠慮するなとカナの頭を撫でた。
もちろんカナのクラスもルルーシュの情報操作によって同じである。
どこまでも過保護に自身の面倒見てくれるルルーシュの姿はやはり、腹違いといえど兄であるシュナイゼルと重なるものがあるとカナは思った。
(ルルーシュ)
教室の中にルルーシュの姿をみつけたカナは心の中で彼の名を呼び、にっこりと笑いかける。
それに気づいたのかルルーシュは、直接笑みを返しはしないものの、壇上にいるカナにだけわかるように僅かにアイコンタクトを送った。