第4章 もう一人の幼馴染
「もういいなら私は寝るぞ」
「あぁ」
「おやすみ、仲良くやれよルルーシュ」
C.C.はいたずら好きの子供のように口元を楽しそうにゆがませると扉を閉めて、でていった。
相変わらず最後まで人を苛立たせるのが得意な女だとルルーシュは思う。
「カナ」
二人きりになった自室で、愛おしい少女の名前を噛み締めるようにしてルルーシュはつぶやいた。
返事など返ってこなくても、手の届くところに君がいてくれさえすれば満足だ。
「ずっとお前を探していた、ずっと会いたかった」
起きているカナには絶対に言えないだろう言葉がすらすらでてくる意気地のない自分にルルーシュは苦笑した。
しかしなによりも正直な自分の本音だった。
「お前の願いは全部俺が叶えてやる」
ルルーシュはまるで自分に誓うようにカナの柔らかな髪を撫でながらつぶやいた。
「悲しいことも嫌なこともお前には味わせないから」
カナの柔らかな唇の輪郭を確認するように親指でなぞる。
カナへの決意をつぶやく度に、カナに触れる度に感極まって涙があふれてしまいそうだった。
カナが生きていてくれて本当に良かった。
カナがいてくれるなら、お前のためなら俺は修羅にでもなれるし、たとえ地獄への道だって喜んで歩めるだろう。
「カナは絶対に俺が守るよ」
幼い頃にした初めてのそれを思い出すようにルルーシュはそっとカナに影を落とした。
(どうかこのうるさい心臓の音で君の目が覚めないように)
御伽の国の王子が姫にするような口づけだとルルーシュは思った。