第4章 もう一人の幼馴染
「ルルーシュ」
壁を殴りつけて赤くなったルルーシュの拳をカナは両手で優しく包む。
「私はあなたが生きていてくれただけで嬉しい。それに私のこと覚えていてくれて…」
「俺はお前を忘れたことなんて…」
一度だってない、そう言葉を続けようとすればカナはルルーシュの言葉を遮るように口を開いた。
「スザクは私が死んだって」
カナの言葉にルルーシュは眉を潜めた。
スザクがカナを死んだと?
「あいつに会ったのか?」
「うん、そしたら私と同じ名前の幼馴染がいたって言われてさ。全然気づかないの。私そんな見た目変わったかな?」
確かにカナは見違えたと思う。
髪が伸びたせいか大人びてみえるし、その男好きする顔立ちできっと男のほとんどはカナをみて振り返るだろう。
しかし、姿形は変わっていても面影がなくなったほどではないし、中身はあの頃のままだ。
話をしたのならなおさらすぐカナ本人だと気づくだろう。
なにより俺と同じようにカナに執着していたスザクがカナに気づかないはずなど…ありえない。
「…久しぶりであいつも動揺したんだろ。…あんまり気にするな」
カナを安心させてやりたいのにうまい言葉がでない。
あいつだったら、こいつを悩ませるスザクだったらもっと優しい言葉をかけてやれるんだろうか
「ありがと…ルルーシュ」
カナはルルーシュの言葉に胸が暖かくなった。
ルルーシュも…スザクも昔と変わりなく私に優しくしてくれる。