第3章 第三章 始動と再会
「な、なに?」
私の視線に気恥ずかしさを感じたのか、スザクはしどろもどろに尋ねた。
「スザクは優しいね」
昔と変わらない。そんな言葉を隠しながらカナは今度こそ貼り付けたような笑顔じゃなくて、心から微笑んでみせた。
スザクは頬を薄く染め、顔を隠すようにカナから視線を外した。
「君の方こそ優しい」
どういう意味なのかわからず、カナは首を傾げるとスザクは笑った。
そして、荒んだ故郷の街をみながら、悲しげに言葉を続けた。
「泣いてくれてありがとう」
やっと、スザクの言葉の意図を知る。
この人は誰よりも優しかった。そして誰よりも正義感が強くて不器用だった。
そんな彼は自分よりもずっと日本の…日本人の死に心を痛めているに違いない。