第3章 第三章 始動と再会
「あ、ごめん!君があまりにも彼女に似てたから…きっと彼女も生きていたら、君のように美人になってたんだろうなって考えたら、なんだか懐かしくなって」
取り付くように笑って見せるスザクに私は張り付けたような笑顔を必死でかえしてみせる。
一体どういうことだ
私のスザクは久々の再会で、こんな悪ふざけをするような男ではなかっ
たはずだ。
だとしたら本当にスザクは私が死んだと思い込んでいるのだろうか。
それもスザクの目の前でスザクを庇って…
「ごめん、えっと…気を悪くさせちゃったかな」
こんな話をした後だからか、カナと名前を呼ぶのをスザクは躊躇ってみせた。
「…全然!それとスザクさんが嫌じゃなければ、カナって呼んでほしいな」
「ありがとう、…カナ」
あれから色々スザクに話しかけられた気がするけど、どれも覚えていなかった。
ただ思ったのは、私の記憶の中のスザクとなに一つ彼は変わっていなかったということだ。
だけど時折、カナと名前を呼ぶ時、私の顔を見る時、スザクは私ではなく、スザクの中の『カナ』を愛おし気に重ねていたのがわかって、私の心に暗い影を落とした。
その後、色々回った最後に、シンジュクゲットーを見ておきたいと言うユフィの要望で、私達はシンジュクゲットーを訪れた。
しかしつい先日のシンジュクゲットー壊滅で、街は悲惨な状態だった。
これが自分の故郷の姿なのだ。
私の知っていたスザクも、私の知っていた故郷も全て形を変えてしまったのだ。
私の知っているものは何一つここにはなかった。
そう思うとついにカナの瞳から涙が溢れ出す。
一度溢れ出た涙はリミッターが切れたかのように留まることを知らない。
そんな私に気付いたスザクはぎょっとしたようだった。
「だ、大丈夫?」
「う、うん…」
心配そうにスザクに顔を覗き込まれる。
泣き顔をみられたくないと顔を背けるが、それはスザクによって制された。
コラ、とスザクはまるで小さい子どもにするように自分の服の裾で私の涙を優しく拭ってくれたからだ。
心配そうにみつめてくるエメラルドの瞳をじっと見つめ返す