第3章 第三章 始動と再会
結局スザクも巻き込んでのユフィのエリア11観光が始まった。
ユフィはエリア11が珍しいのか、それとも自由に動き回れる今が楽しいのか、嬉しそうにはしゃいでいる。
私とスザクはそんなユフィを少し離れたところから優しい視線で見守る。
普段中々外にでられないのはユフィも同じだ。
とくにユフィは私とは違い正規の第三皇女。形は違えどきっとあれこれカナ制限されて育ってきたのはユフィも同じだ。否、兄様に甘やかされただけの私よりももっと大変だったのかもしれない。
「君は…カナっていうんだよね」
恐る恐る、スザクはカナの顔を伺いながら口を開いた。
まるでなにかを確かめるように。
「う、うん…」
「カナ」
優しく名前を呼ばれて、肩がびくりと跳ねる。
もしここでユフィがいなかったら、私は確実に涙を流しながら、彼の名前を呼んで縋り付いていただろう。
「懐かしいな」
「え?」
「僕には、君と同じ名前の幼馴染がいたんだ」
スザクは目を細め、懐かしむように言葉を紡いだ。
過去を思い出しているせいか、さみしげに笑うスザクに胸が締め付けられた。
スザクは私に気づいてないのだろうか?
確かに外見はあの時よりだいぶ変わったと自分でも思う。
体型は年相応に女らしくなったと思うし、髪も短かったあの頃に比べたらだいぶ伸びた。
「あ、あの…」
私が、そう言おうとした時、スザクが言葉を遮った。
「でも…僕は守れなかった」
「え?」
守れなかった?
嫌な予感がした。
「…死んでしまったんだ、事故だったんだけど、僕を庇って。なによりも大事だったのに」
鈍器で後頭部を殴られたような重い衝撃。
ぐわんぐわんと目眩のようなものを感じた。
死んだ?私が?スザクをかばって?事故?