第3章 第三章 始動と再会
「で、ユフィ!なにから逃げてるの?ちゃんと説明して?」
カナの問いにユフィは悪戯が見つかった子供のように無邪気に笑み、「私のボディガードさんからです」とカナに耳打ちする。
思わずため息をついた。
しかし、人のことを言えないのでカナはユフィの頭を優しく撫でる。
「カナは?」
「え?」
「カナはどうしてエリア11に?」
「私は…」
なんて言おう。正直に話すことはできないが、もしシュナイゼルに自分の存在がここにいることが伝わって、それこそ連れ戻されてしまうかもしれない。ユフィを口止めできる理由を考えなくては…
「…一人旅かな。いつも兄様の敷地にいるでしょう?色々見て回りたくて。でも兄様にいったら心配しちゃうから、内緒にしてね」
とっさに出た言い訳はあまりに苦しくて、でも人を疑うことを知らないユフィは手を合わせて「まあ素敵!」と笑った。
カナはユフィの笑顔に安堵し、曖昧に笑んで見せた。ユフィに嘘をついた少しの罪悪感がカナを苛む。
「あの…」
今までずっと放置されていた青年が痺れを切らしたかのように遠慮がちに口を開く。
そこで、私は初めて彼の顔を見た。
栗毛色のくるくると柔らかそうな髪、意志の強そうで優しげなエメラルドの瞳。
ああ、背が伸びたな…なんて、場違いなことを思いながら、懐かしさで涙が溢れそうになるのを堪えた。
青年は枢木スザクと名乗った。