第3章 第三章 始動と再会
「ユフィ!」
「カナ!」
「え…カナって」
「ユフィ大丈夫!?」
「私はこの方が助けてくださったので大丈夫です。…それよりカナ、貴方どうしてエリア11に?」
「それは…」
言葉をつまらせた。
なんていったらいいかわらなかった。何の計画性もなく兄様の元から飛び出したカナはどうみても家出そのものだ。
それを馬鹿正直にユフィに話すわけにもいかない。
「そうだ!今はそれどころじゃなかった!カナ、私を連れて逃げて下さい!」
「え!?」
「私、追われているんです!はやく!」
そう言うや否やユフィはカナと、ユフィを受け止めた青年の手を掴み、走り出した。
「ちょ!ちょっとユフィ!」
相変わらず私の親友でもある妹は破天荒だった。
しばらく引かれるままに走ったが、普段シュナイゼル邸でなにもしないで暮らしていたカナは息が切れ始める。
それに気づいたユフィは慌てて足を止めた。
「ごめんなさいカナ…大丈夫?」
「た、だいじょうぶ…」
「カナ、ちゃんと運動はしないと!」
「う…」
胸を上下させ息を整える。
まさかここ何年かでこのピンク色のお姫様より体力が衰えていたなんて。
挙げ句の果てには運動をしろとまで言われてしまう始末だ。
シュナイゼルはカナに怪我をさせる恐れのあるもの全てを遠ざけて、可愛がっていた。
それこそスプーンより重たいものはもたせなかったといっても過言ではないだろう。
今になって全て甘えてきた自分を恨めしく思った。