第6章 ざわつく気持ち*R15
ギィ…
縁側の軋む音が鳴った
その音の後に、静かに近づいてくる足音が聞こえてくる
「部外者はそろそろお引き取りいただきたいんだが」
「……」
「はァ…。明日の朝には帰れよ」
「…すまねェな」
それは土方と銀時のやりとりだった
未来の眠る側から離れようとしない銀時は、土方に背を向けたまま、普段なら絶対に口にしない言葉を呟いた
そんなしおらしい銀時を土方は視線だけ動かし一瞥する
いつもなら嫌味の一つや二つ出てくる土方も、寝込む未来を心配してやってきた銀時に何も声はかけなかった
そして土方は来た時と同じように、縁側の廊下を静かに歩いて戻っていく
「おうトシ、未来ちゃんの様子はどうだ?」
土方が近藤の部屋に入ると、刀の手入れをしていた近藤は開口一番に未来の様子を聞いてきた
「まだ眠ってたが、時期に薬も効いてくんだろ。あのヤローが今夜は付き添ってるってよ」
「へえ、万事屋がねえ。あいつも良いとこあるじゃねェか。さすがは幼馴染と言ったところか。なあ総悟」
近藤の部屋に居座ってテレビを見ている沖田へ話を振った
「なんだかんだ言っても、旦那も女には弱いってことなんですかねィ。ただの医者の不養生でしょうに」
「そんな言い方するな総悟。隊士たちの面倒見てもらってるんだぞ。腕も良いし。可愛いし。それに女性に優しく接するのは当たり前のことだ。それが惚れた相手となれば尚のことだ。万事屋にもそう言う相手がいるとなれば、近くにいる新八くんも影響を受け、お妙さんのことにも寛大に…」
「ならねェですぜィ」
間髪入れない沖田の一言で近藤は意気消沈した
「幼馴染…ねェ」
土方の呟きは、タバコの煙と共に外へ吐き出した