第17章 失った記憶、失くならない記憶
お手洗いへ立った未来は洗面台の前に立ち、正面の鏡に映る自分をぼんやりと見ていた
銀時を見て頬を染める月詠のあの顔を思い出していたのだ
子供の頃からよく見てきたことだった
銀時の垣間見える優しさや格好良さに、銀時へ好意を寄せる女の子たちをいつも見てきた
その度に、未来は胸が痛んでも自分の思いに蓋をしてきた
あと一歩踏み出すことができなかったからだ
ずっとそばにいられるなら、どんな関係性でもいいと思っていた…
そんなことを考えながら部屋へ戻ろうと廊下を歩いていると、後ろから腕を勢いよく引かれた
「すげェ上玉じゃねェか!よし、決めた!今夜はあんたに決めたよ!」