第17章 失った記憶、失くならない記憶
「すみません、突然押しかけてしまって」
「まさか銀ちゃんから来てくれると思わなかったから、びっくりしたけど嬉しかったよ」
仕事が終わり帰ろうと屯所を出ようとしたところで、銀時を見つけた未来は、外で立ち話もなんだからと自宅へ招き入れた
「それが…」
未来はキッチンからグラスを持って、銀時の座るソファーへやってくると、手にしていたグラスを銀時へ差し出し、隣に座る
「これは…?」
「イチゴ牛乳。銀ちゃんが好きな飲み物だよ。記憶を無くしてから飲むのは初めてなんじゃない?」
恐る恐るグラスに口をつけた途端、グビグビと飲み干す銀時
「う、うまい」
「ふふ。おかわり持ってくるね」
「いえ、大丈夫…」
「キャッ…」
立ち上がろうとする未来を引き止めようと、咄嗟に出した銀時の手は未来の腕を掴み、そのまま銀時の胸へ倒れ込んでしまった
しっかりと銀時に受け止められた未来は、間近で目が合った
「…です」
「…は、はい…」
久々の銀時の温もり、匂いが未来の胸を締めつける