第17章 失った記憶、失くならない記憶
「元気そうで安心したよ」
銀時を訪ねてきたのは未来だった
「その…すみません。僕が何も思い出せないばかりに」
銀時は工場の裏手へ未来を連れてきた
「記憶はきっかがあればいつか戻るから…。それより、万事屋解散したって新八くんから聞いたよ」
「僕は…以前の堕落した自分は受け入れられない。生き直そうと心に決めたんだ」
「そっか…」
「あの…気になっていたんですが。どうしてあなたは、こんな僕と…その…」
はっきりと言わないが、きっと未来と銀時の関係を気にしているんだろうと未来は気づいた
「銀ちゃんは強くてカッコいい人だよ、昔から。どうしようもないところもあるかも知れないけど、それでもいつも銀ちゃんの周りには人が集まってくる…そんな魅力がある人なの」
何故だか、未来がそう言うのならきっと嘘でないのだろう思ってしまう
銀時は未来の言葉に耳を傾けながら、未来の横顔を見つめる
「今のあなたが思うほど"銀ちゃん"はチャランポランじゃないし、あなたが思うよりずっとずっと"銀ちゃん"は素敵な人だよ」
嬉しそうに"銀時"のことを話す未来
「それと…、私と銀ちゃんはただの幼馴染だから、そんなに気にしないで」
「でもあの子たちが…」
「大切な人だよ、銀ちゃんは。私にとって、すごく大切な人。だからって、今の銀ちゃんが気にすることないよ」
伏し目がちに大切な人だと話す未来を見てるのは、なんだか心が痛む
「ごめんね、休憩中に…。また来るね」
帰っていく未来の背中を見送る銀時
「未来…さん」