第17章 失った記憶、失くならない記憶
「なに、記憶喪失?それは本当か?何があったのか詳しく話せ、銀時」
「いやだから、記憶ないって言ってるでしょうが…」
呆れたようにやる気のないつっこみを新八は桂に言った
最初に桂の元へやって来た銀時たち
相変わらずのやり取りをするも何も思い出せなかった
「お前たち、未来には会わせたのか?こいつのことだ。未来のことだけは忘れてはいないだろう」
「それが……」
短い沈黙の後、桂は返事をした
「…そうか」
言い淀む新八の姿を見て、それ以上の説明がなくても桂は理解したのだ
そして、銀時を向き直り、桂は旧友へ言葉をかける
「銀時。俺たちのことは忘れたとしても、あいつのことだけは忘れるな。この十年、一日たりとも忘れたことは無かったはずだ。たかが事故くらいで忘れて良いようなそんな相手ではないはずだろう、銀時」
いつになく真面目に話す桂に新八と神楽は驚いて口を噤んだ
「まァ、もう既に記憶がない奴に言っても無駄か…。ただし銀時。何も覚えていないからと言って、あいつを悲しませる真似はするなよ」
銀時はただ黙って桂の話を聞いていた