第4章 ハートの海賊団
何故この船に居るのか私自身も分からないことを告げると彼の目が更に険しくなっていくのが分かり、まぁ私が彼の立場でも同じような反応をするだろうなと思っているとずっと被っていた暗部用の面を取れと言ってきた彼にそういえばずっと付けたままだったかと手を伸ばして面を外す。
『これは失礼。…改めて、私は雫。さっきも言ったけど木ノ葉の忍よ』
面を外したことにより開けた視界で改めて目の前の彼やベポ、辺りを見渡すが何かが変わるわけでもなく。
ただ船の上に掲げられている海賊旗を見て本当に海賊船なのだと理解するしかなかった。
ベポ「わ~…雫ってとっても可愛い女の子だったんだ!」
『女の子って…まぁありがとう。ベポも可愛いよね』
ベポ「か、可愛い!?…ん~…ボク男なんだけどなぁ…」
「…おい、忍っていうからにはそれなりに戦えるんだろうな」
素顔を見たベポが女の子と言うものだからいったい何歳に見られているのかと苦笑い気味に答える最中、ローからの問いかけに当然というように頷いて返す。
『当たり前でしょ。これでも暗部…所謂暗殺や隠密的な役職を担ってたんだから腕に自信はあるわ』
「ほぉ…ならその実力とやらを見せてもらおうか」
そう言うと刀を鞘から抜いて斬りかかってきたローに驚くベポをよそに手に持っていたクイナを構えて攻撃を受け止める。
『ッ、いきなり斬りかかるなんて…男としてどかと思うけど?』
「フッ、その攻撃をいとも簡単に受け止める女もどうかと思う…ぜッ!」
キン、キンと刀とクイナが何度も交わる音が海に響き渡る。
そんな状況を止めることもできずにオロオロとしているベポの元にさすがに騒ぎを聞きつけた他の船員達が甲板へと集まってきた。
「おいおい、何だ?」
「ベポ!こいつは一体どういう状況なんだ!?」
ベポ「ぼ、ボクにも何が何だか…」
周囲がガヤガヤと騒ぎ始めたのが分かるもいっこうに攻撃を止めようとしない彼にそろそろ面倒になり、クイナで一旦刀を受け流してから甲板の手摺へと飛び乗る。
「お、おい!危ねぇ!?」
ベポ「!!雫!?危ないよ!!」
「………(何するつもりだ)」
『悪いけどお遊びはここまで。…水遁、水乱波!』