【BASARA】幸村落ち。元遊女ヒロイン【内容激しめR18】
第6章 忍笑い
――私はあなたの甘い香りが好きでした。
でもあまり甘味ばかり食べていてはいけませんよ幸村様。
――行きますよ、牡丹。もうここに用はありません。
――さようなら幸村様。
「牡丹!!!!」
幸村は目覚め、がばりと起き上がった。
しかしその瞬く間だ。
「この大馬鹿者がぁぁぁぁ!!!!」
顔面にめり込むストレートパンチが幸村に決まり、彼は塵同然に吹き飛ばされた。
「ほがぁがぁぁぁ…ぐばしゃぁぁぁ……!」
城壁にめり込んだ幸村の辺りは、瓦礫の山が積み重なっていた。
しかしこれは、武田の総大将と大将がいつも通り殴り愛をしたから破壊された訳ではない。
あの天海という男が突如として現れ、武田軍が奇襲を仕掛けられた為だった。
「ワシが異変に気付き腰をあげていなければ、今頃お前も佐助も犬死していたところじゃ!」
「も、申し訳ございませぬ!お館様っ!某は、なんと愚かなことを…」
「愚か、と申すか…。ではお主、どれだけの愚かを侵したか分かっての返答であろうな?ならば問うぞ幸村よ!お主が申す愚かとは何か!答えてみよ!!」
「はっ!此度、某は自身に生まれ出でた快楽に溺れ、その怠惰、堕落によってこの甲斐武田を危ぶめたことでまことに申し訳の立たぬ大失態を犯し、かような不様を晒し申してござ…ぶーん!!!」
台詞の途中で殴られた幸村は、また城壁まで吹き飛ばされた。
やれやれ、と忍は思う。
でも今回のことは俺様も抜かっていた。
あれだけ注意しなくてはと分かっていたのに、目の前のかすがに…いや、牡丹の妖艶と笑顔に夢中になってしまったのだから。
猿は今回ばかりは大将を責める権利はないと牡丹が隠れ去った居場所を掴もうと、誰より早く影に紛れたのだった。
――俺様を本気で怒らせた罪、あいつの躰で贖わせてやる…。