【BASARA】幸村落ち。元遊女ヒロイン【内容激しめR18】
第5章 言合い
「おい、真田…!なにをボーッとしている!そんなにやる気がないと、謙信様も私も拍子抜けだ!いつもの暑苦しい熱気と気迫はどうしたんだ!」
かすがは、川中島の幾度目かの戦いで、空虚に槍を捌くだけの若虎に尋ねた。
しかし、いつもの熱血硬派の勢いがなく、流石に驚いているさなか、という訳である。
「あーごめんかすが。真田の大将のことは今ほっておいてよ」
「ほっておけるか!こんな戦をされては謙信様に失礼だ!」
「言いたい事はわかるけど、今、真田の大将は戦よりも大事なことに気づいちゃった訳よ」
「謙信様との戦より大事なことがあるだと!そんなこと許されるものか!」
かすがは密技を繰り出すが、当の本人、真田幸村はやはり、ぼやっと槍を回転させ防御や回避に徹するばかり、心ここに非ずだ。
「まあまあ落ち着いて。聞いてよかすが。俺様も困ってるんだから」
――奥州の伊達の大将に負け、牡丹はあの男と交わった。
俺様もそこに加わったのがまずかったかもしれないが、牡丹がこれまでにないほど良がってしまった。
それを見て、真田幸村は、自分の不甲斐なさに気が付き落ち込んだ、と。
「そんな馬鹿みたいな話、ある訳あるか!馬鹿者!」
「そんな馬鹿馬鹿言わないでよかすが!本当なんだから!」
「つまり真田は、自分の破廉恥嫌いだった無知の己を、ここに来てようやく後悔している訳だな」
「ま、早い話そういう事かなぁ。で、今は毎日、春画やソレに纏わるテクニックというものを、朝から晩まで学んでいるのでございますよ、うちの大将は」
「やはり馬鹿だな。そんなもの、その女本人に学べばいいではないか」
「それがそうもいかないのよ」
――あれ以降、牡丹の顔を見ると、政宗殿に負けた苦渋で溢れるのだ…。
あんな悲しそうな顔をするなんて、大将もすっかり骨抜きにされちゃってさ。
ま、一度くらい別の女を試させるのも手か。
思いついたように、佐助は目の前のくノ一を、得意の忍技でひっ捕らえたのだった。