第3章 ブルームーン 【伊達政宗】 《R18》
さも当たり前かのようにさらりと言ってのけた政宗は、「そろそろ上がるか」なんて飄々とした様子で立ち上がり、手拭いで顔を拭いている。
私的にはものすごい重大発表なんですけど……っ!
突然の報告に、驚きと嬉しさが入り混じった感情が頭の中を駆け巡るあまり絶句していると。
そんな私の動揺を察してか、政宗はこちらへ視線を向けて悪戯な笑みを浮かべていた。
濡れた髪の毛先から滴った雫が肩に落ち、背中に隆起した筋肉の線に沿って引き締まった腰へと流れていき……
私を見つめる青い瞳は闇夜に光る。
艶めいた佇まいは、美しい獣の化身のよう───
「……!」
そう見惚れていた瞬間、手首を引かれてあっという間に腕の中に攫われた。
「顔が赤いな。なに今更照れてんだ」
「…っ、だって、いきなり祝言って言うから…」
「思った時に思った事を言う。言わずに死んで後悔しないようにな」
乱世を生き抜く彼の信条なのだろう。
想いを受け取った私は、照れ臭さを滲ませながら祝言の約束を承諾した。
「死ぬまで離さねぇ。覚悟、しろよ?」
私を捉える、青くて丸い目の虹彩。
それはまさにブルームーン──青い満月みたいで……
吸い込まれるように顔を寄せ、口付けをした。